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12-1 りこ視点 変わったのは、名前だけだった
りこは一瞬だけ固まる。
でも、迷う時間は長くない。
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「……うん」
小さく返す。
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悠星がわずかに反応する。
「……うん?」
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りこは少しだけ笑う。
ちゃんと目を見る。
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「私も、好き」
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はっきり。
ごまかさない。
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一瞬、空気が止まる。
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悠星は言葉を失う。
「……まじか」
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りこは少しだけ照れる。
でも視線は逸らさない。
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小さくうなずく。
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そこで初めて、悠星が少しだけ笑う。
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「……そっか」
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それだけなのに、やわらかい。
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少し沈黙。
でも、もうさっきまでの空気とは違う。
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二人はそのまま、歩き出す。
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校門へ向かう通学路の途中。
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いつもと同じ道。
でも、さっきまでとは違う距離感。
悠星がぽつりと聞く。
「……明日も一緒に行くだろ」
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りこはすぐにうなずく。
「うん」
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少し歩き出してから、
りこが小さく言う。
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「なんか、あんまり変わんないね」
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悠星は少しだけ間をあけて、
「……そうかな?」
と返した。
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でも、
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ほんの少しだけ距離が近い。
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歩くスピードも、自然と揃う。
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電車も、朝の時間も、同じ。
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ただ――
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並んでいる理由だけが、
ちゃんと変わっていた。




