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7-1 りこ視点 たまたまじゃないよね

その日も、二人は同じ車両に乗って学校へ向かった。



教室に入ると、友達がふいに言った。


「ねえ、最近さ、桧山くんと一緒に来てない?」



りこは一瞬だけ目を瞬かせる。


「え?」



「付き合ってるの?」



思わず苦笑する。



「ううん、付き合ってないよ」



少し考えてから続ける。



「たまたま電車がよく一緒になるんだよね」



「へえ」



それだけで会話は終わった。


友達はすぐに別の話題へ移っていく。



りこも何気ない顔で話を聞きながら、


ふと窓の外へ視線を向けた。



(……たまたま)



心の中で、その言葉を繰り返す。



確かに最初は偶然だった。



でも最近は、


気づけばいつも前にいる。



混雑した車内で、


不思議なくらい守られている気がする。



もちろん確かめたわけじゃない。


本人に聞いたこともない。



それでも――



(……ほんとは、たまたまじゃないよね)



言葉にはしない。



けれど、


そう考えた瞬間、


胸の奥が少しだけ温かくなった。



りこは窓の外を見つめながら、


小さく息を吐いた。

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