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  作者: りょう
25/26

夢を見つめて 4

静かな朝、時計を見ると9時少し前だ


静かな部屋に遠くからいつもと違う数人の足音が近づいてくる

その音が段々近づき俺の独房の前で止まる

俺は心臓が高くなる


扉が開き

「教誨師の先生が待ってますよ」と言われる

全身が震える

無意識に何かしょうとすると

そのままで何もしないで出るように言われるが体が動かない

そんな俺の両脇を抱えながら連れて行く

しばらく歩きエレベーターに乗せられ地下に降りる


連れて行かれたのは

想像とは違った落ち着いた、こじんまりした部屋で応接室のような空間に

テーブルと椅子が向かい合わにある

その少し先には仏壇みたいなのがあった


そこに軽食が運ばれてきた

いつもより少しご馳走だった

俺の最後の食事だ

「少しでも口にしなさい」と優しく言う教誨師

少し食べるが喉を通らない

教誨師が優しく話をしてくれる

少し心が落ち着く

「何か書いて置きたい事とかありますか?」

俺は判決が出てから手紙を書けなかったので

書きたいとお願いした

頂いた便箋に書こうとすると

手の震えが止まらなく書けない

そんな俺の手を優しく握る教誨師

「大丈夫ですよ」と優しく声を掛けてくれた


少し落ち着き書き出した


書き終わると


小さな和菓子と煙草を差し出された


久し振りの煙草に火を付けてもらい一口吸うと

体がくら~っとしてしまい少し吸って消した


「そして何か伝えたいことはありますか?」と聞かれ

典明さんと弁護士さんに「お世話になりました」と残した


狭い前室に入ると

正式に告げられる執行


穏やかなお経が流れる部屋で刑務官に囲まれ

黒いアイマスクが付けられた


いろんな事が脳裏を過るが全て、あの島の事だった

いつも4人で見ていた、あの美しい海 空 星 太陽に、何処までも続く地平線

そして、あの夏の楽しかった花火大会の事に

あこの可愛い浴衣姿


いつも側で笑って手を握ってくれていた

あこの満面の笑み


手錠を掛けられ執行室に連れて行かれる

両足を縛られる


何故か俺の心は穏やかだった

お経とともに、何処からか

茂さんの声が聞こえてくる


「さとし!さとぼー!」


冷たく太い物が首に当たる


暗かった目の前に

光が現れ


その先には茂さんが

俺に手を差し伸べながら

優しく笑いかける


俺も茂さんと言いながら微笑んで手を伸ばした







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