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  作者: りょう
16/26

光の闇

夏も終わろうとしていた

25年の中で一番充実した夏だった

ここに辿り着いた時は何もない風景に思えたが今は違う

毎日変わる穏やかで時には厳しい自然環境の中で島の人たちは

全て受け入れながら生きている


都会では感じなかった人の温もり優しさ大切さみたいなのが

こんな俺でも少しは感じれた


この夏で、あこともいっぱい遊び

茂さんや典明さんとも絆が深まった感じがした


明日には長いバカンスが終わり

大阪に戻る真弓さんの、お見送り会だ


浜辺に集まってBBQをする準備を典明さんと一緒にしてる側には

あこもいて、お手伝いをしてくれている

しばらくして真弓さんも手伝いに来て

和気あいあい笑いが絶えない

そんな様子を見ながら近づいてくる茂さんと、おばあだ

2人とも優しく孫たちを見る感じで

「みんな楽しそうだね~」と言った

「楽しそうじゃなく楽しいです!」と俺も笑いながら言う


花火大会の日から、あこが、お気に入りの

家庭用の花火も、この夏最後の日になって

「これが最後の一本だよ」と俺が言うと

「にぃたん、どぞぅ」と言うあこ

「じゃ、一緒にしょう!」と言い

あこの手に線香花火持たせその手を俺の手で包み込むと

典明さんが火を付けた

俺の手が震える、あこが

「だいじょうぶぅ、こわくないよん」と巻き舌で言ってくれた

「兄ちゃん怖がりだね」と皆が笑った


大きく弾ける花が少しづつ小さくなり

赤い小さな玉が消えかけて落ちた


あこが少し悲しい顔をして俺をみた


本当に忘れられない夏になった



次の日、俺は真弓さんを船着き場まで

キャリーバックを引きながら見送りに行った


内地からの船が着きかけた

「ありとう荷物助かったは

また近い内に来ると思うから、また会えるかな?」

「はい」

「おばあ、宜しくね。元気でね」

「ありがとう、真弓さんも元気で」


真弓さんは乗り込む手続きに向かって振り返り手を振る

俺も振る


船から、まばらに人が降りてきた

その中で聞こえてきた会話


「そぅそぅ、あの酷過ぎる一家殺害の事件さぁ、犯人息子みたいやん

めっちゃ怖いねんけどぅ~」

「うちの近所やねん」

「え!まじ~」

「こわ~」

「まだ犯人捕まってないんやろ?」

「うんうん”まじ、やばー、いがいと近くにおったりしてな」

「この島とかに、おったりしてー」

「恐ろしい事言わんどって!」

「はよ捕まったらいいのにね」

「時間の問題しょぅ」


俺は震え頭の中が真っ黒になり何も見えなくなる


遠くから「さ と し !」と言う声で

やっと光が差し込む


真弓さんが一生懸命手を振っていた

俺はただ見つめるしか出来なかった










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