閉ざされた扉 6
花火大会が終わり島の静けさが戻った
ただ浜辺に行くと観光客達が海を堪能している
あこは昨晩の興奮で珍しく朝ごはんの時間でも起きづに寝ていた
茂さんもお疲れモードなので
俺が畑に行く事にした
その前に昨日のお礼に、おばあの所に畑で取れた物を届けに行くと
店には昨日の真弓さんが店番していた
「おはよう、昨日は楽しかったね」
「あっ、おはようございます、あこがお世話になったので、これ茂さんからです」
「ありがとう、もう戻るの?」
「まあ」
「少し海行かない?」
「暇ですから、いいですよ」
そう言うと
「お婆ちゃん、聡君からお礼に、これもらったよ」
「あら~ありがとうね」そう言いながら店に出てきた
「少し出掛けるね」
「いっておいで」
2人で近くの海に行った
「あこちゃん、めっちゃ懐いてるね」
「子供苦手なんですが、なんか懐いてくれて」
「気に入られてるよね、私見る時の目ね女の人になってるし~」と笑う
「ぇえ?」
また笑う真弓さん
「あんなに懐かれたら苦手でも可愛いでしょう?」
「そうですね、初めて子供が可愛いと思った。それに不自由な体なのに一生懸命だし」
「喋り方も可愛いしねぇ」
「はい。親がいないのに寂しくないんですかね?明るいし元気だし、お利口だし」
「寂しくない事ないんじゃないかな、むしろ辛くて悲しいと思うんだけど我慢してると思う
その分、茂さんが愛情注いであげてるからね」
「よく茂さんに預けてるんですか?」
「詳しくは解らないけれど、シングルマザーで育てて、いろんなストレスや環境で
あこちゃんのお母さん育児放棄しては何度も施設に預けてたみたいなの
だから、あこちゃん、物心ついた時から、いろんな大人や年上の子達の中で育ってて
障害もあるから自ら生きる術で、どんな時でも明るくみんなに可愛がられるように
振る舞う努力して辛いとか悲しい顔は見せない様に子供ながらにしてるみたいだって
茂さん言ってた」
「そうだったんですか」
「茂さんも、なるべく預かるようにして、障害があっても困らない様に、親が教えない事も
いっぱい教えてあげてるみたい
本当は引き取りたいみたいだけれども、あの年齢で島を出たら、もっと大変だし
あこちゃんの、これからの学校などの、いろんな事考えたら
島で育てるのは無理だしね」
「そうですよね、少しの滞在とか、年金暮らしとかで、のんびり生活するには
いい島ですけどね」
「なかなか難しいよね、聡君はどうしてここに来たの?」
少し戸惑いながら
「人間が嫌になってかな~」
「わかる!」笑いながら言う
「私も都会に憧れてたけど実際に行ったらねぇ~
ほんと大変だわ~
人間関係に社交辞令に人多過ぎだし夏は超暑いし!」
今度は俺が笑う
「時々みんな、いなくなればいいのになぁ~なんて思う事あってね
ダメダメ!って思っちゃう、でもここに来ると
なんか、いろいろ悩んでる事が、ちっぽけに思えて来るの
悩みとか嫌な事が、もうどうでもいいと言うか
自分が、前向きじゃないから、そんな気持ちになるんだって気付かされるの」
「あこを見てると、そう感じる事あります
あの子は皆に愛される。
ただ子供と言う事だけじゃなく
一生懸命生きてる感や、子供なのに相手を想いやる姿が愛しく思える」
「癒しだねぇ」
「そうですね」
穏やかに互いに笑った
「島に来て少しは人間嫌い治りそう?」
「どうなんですかね~」
「今すごく優しい表情してるから、治ってるみたいだけどぅ」と笑う
しばらく話して俺は畑に向かう
その間、またいろんな事を考える
本当の俺を知ったら、みんなはどうするだろうか?
拒絶するだろう
茂さんは?
絶句して直ぐ家を追い出すだろう
典明さんは?
お前を殺してやる!と言いながら警察に連絡するだろう
そして屈託のない満面の笑顔の
あこの顔が過った
あこは?
怖がって避ける様子が浮かぶ
いつか必ず解る俺の全て
今初めて自分が犯した事を悔やみはじめた




