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  作者: りょう
13/26

閉ざされた扉 4

この島の夏は日差しが強いのだけれど

湿度が少なく木陰や風が吹くと心地い暑さになり

大阪で生活してた頃より過ごしやすく気持ちがいい


あこを連れて茂さんから聞いた花火会場に向かう

会場と言っても都会みたいなものではない


浜辺に、テントがあり島の人達が集まるだけの場所だ

飲み物などは売っていた

観覧するスペースなど特になく

みんな浜辺で適当に座り観るのだ


開催時間より早くから集まって

思い思いに、好きな飲み物を飲みながら摘みを口にし

陽気に話が弾んで踊ってる人達もいる


こっちがメインかも知れないと思う


島の祭りの恒例の風景だ


なるべく日陰の、あこが疲れない場所を探してると

準備しつつ島の人達と話してた茂さんが

俺たちを見付けて

「おぅ!さとぼー」と声掛けた

「あこ!あれ~えらい、べっぴんになって」と嬉しそうに笑う茂さん

あこも茂さんに、どぉ”と言う感じで

その場で一周して見せる

頭の飾りも指で差し

「にぃ~にぃ~ちゅけたょ」と嬉しそうに言う

「おぅ!よう似合ってお姫様みたいや!

聡ありがとな、ほれこれ持って行き

あそこは涼しいぞ」と

木陰の少し高くなってる場所を指さした

じぃからもらった袋には

あこの好きなカルピスとオリオンビールなどの飲み物数本と

お菓子に摘みが入ってた


家から持ってきた敷物を引いて、あこに座らせカルピスを渡す

美味しそうに一気に飲みかけたから

「いっぺんに全部飲んだら、お腹痛くなるからあかんで、少しづつ飲んだ方が

美味しいのが長続きするんやで」

うんうん”と言う感じで小さな口を、もっと小さくして飲む

可愛いと本当に思った瞬間だった


少しして

「まあ~可愛いねぇ。こんにちは」と知らない俺より少し年上ぐらいの女性が声掛けた

あこが「こんちぃ~」とカルピスを両手で持ったまま立ち会釈する

「おりこうさんだねぇ、浴衣似合ってて可愛い」

あこは、また髪飾りも見せる

女性は優しい笑顔で

「飾り素敵ねぇ、お姉ちゃんも欲しい!」と言うと

あこは「ダメ」みたいな感じで飾りを隠すので

「あ!ごめんねぇ、取らないよ」と笑った

「子供さんですか?」と俺に聞く戸惑う俺

「いえ、お世話になってる人の孫です」

「そうなんですね、ごめんなさい」

「いえ」

「あこ座りな」と言うと俺の開いてる足の上に椅子の様にして乗って来て

お姉ちゃんに「どぅど」と自分が座ってた場所をトントンする

「あらぁ~いいの?」

俺もいちよ「良かったら、どうぞ」と言う

「ありがとう!あこちゃんって言うのね、ありがとうねぇ。ほんと優しいねぇ」

「はい、いい子です」俺が言う

「もしかして茂さんの所の?」

「はい。茂さん知ってるんですか?」

「私。どこがスーパーやねん!の島スーパの、おばんの孫なの」と笑う

「あっ、そうなんですか、さっきこの浴衣おばあに着せてもらったんです」

「そうだったんだ~私も、さっき島に来て、おばあの店よってから直ぐここに来たの

じゃ、孫じゃなくてひ孫だよねぇ」と笑った

話し方聞いてて

「もしかして関西の人?」

「就職して大阪に住んでるの、あなたも大阪?」

「はい」

「喋り方でわかるよねぇ」とまた笑う

この島で大阪人(いちょ?と思う)に会うとは予想外だった

「茂さん面倒見いいでしょぅ」

「はい、昔からそうなんですか?」

「私も産まれたのは、というか育ったのはここなんだけれど

島には学校や働く所ないから小学校行く前に内地に親と一緒に行ったのね

でもよく、この島には遊びに来てて大阪に行ってからは時々無性に島に来たくて帰って来るんの

そんな感じだから、茂さんの昔は良く知らないけれど

おばあから少し聞いてて

おばあの旦那さん、私の祖父ね病気で亡くなった直後に

茂さんが、この島に来たらしく

その頃、毎日店に沢山のお酒買いに来てて

心配して様子見がてらに手作りの惣菜を届けて行くうちに親しくなって

いろんな話してたみたい、おばあも寂しかったんだと思うは

この島は祖父は生まれ育ったんだけれど、おばあは違うし

昔は地元民も、もっと多かったし小学校もあったけれど

段々みんな内地などに出て行くから

気が付いたら保々地元民のいない島になってて

その代わり人の干渉はしない無駄に関わらない

でも困った時や困った人には力になったり知恵を出し合って助けてあげるし

こんな感じのお祭りの時などは皆で協力し合って、いっぽい楽しむ

意外と人情味溢れた穏やかな島だわ」

「そうなんですか、俺は茂さんの事、なんにも知らんし、俺の事も知らないですから」

「いいんじゃない、話したくなったら話せば」

「ほんと、この島はいいわ~」と両手いっぱい開いて背筋と腕を伸ばす

あこも、それを見て同じ様にするもんだから

あこの手が俺の顎に当たる

「いて~」と言うと

あこと女性が爆笑した

それを見て俺も笑う

二人とも同じように良く笑う笑い顔が似ていた

「大阪に行って改めて島の良さ感じたの

なんかね、この島に来ただけで嫌な事に苦しい事やイライラみたいなのが

全部吸い取って洗い流してくれるみたいでね

ここに来たらまた頑張ろ!って気持ちになれるの

なんもない島だけれど

ここには、素晴らしい海 空に夕日、朝日に満天の星があるし

それに数少ないけれど温かい人の温もりもね」

「そうですよね、ゆっくりした時間もいいですし」

話をしてると、あこが

「にぃ~にぃ~ぉかしぃ~」と言う

「あ!ごめんごめん、どれがいい?」

めいいっぱい袋に顔を近づけて選ぶ

お菓子の袋を開けてあげて渡すと自分が食べる前に

お姉さんと俺に「どぞぅ”」と差し出した

「ほんとに優しい子ね」と優しい顔してお礼を言うお姉さん

何故か俺が褒められたような錯覚を感じた







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