閉ざされた扉 3
季節は夏になり、こんな小さな島
普段は殆ど人も見かけないけれども
7月の半ばから8月は、いろんな所からダイビングや海水浴に人が集まって来る
小さな民宿が数か所ある位だから保々日帰りの観光客だ
ただ、この島でも夏祭りがあり小さいながら花火が上がる
その日は内地からも若者が集まるので一晩中賑やかだ
今日は俺とあこの、島で初めての夏祭り
島スーパーの、ばあさんが、あこに浴衣をプレゼントしてくれ着替えさせてくれてる
その間、見慣れてる店内を眺めてると
いつもは見ない物が目につく
女の子用の可愛い髪飾りだ
ゴムに飾りが付いたのとピンみたいなのに付いた飾りがあった
髪の短い、あこにはピンのだな~って思って見てると奥から
「お待たせ」と、おばあの声
そこには愛らしい顔で嬉しそうに笑う、あこ
「にぃ、にぃ」
「おぅ、よく似合ってるね、めっちゃ可愛いよ」と言うと
「めんちゃ?」
「めっちゃ。 すごく。いっぱい可愛いと言う意味やで」
嬉しい気持ちを笑顔で表す
「おばあ、これちょうだい、いくら?」
「あら~よう見つけたね、いいよプレゼント」
「いいんですか、すみません」
おばあが「つけたげよ」と言いながら、あこを呼び
俺は持っていた髪飾りを、あこに見せ
おばあが、それを取り、あこに着けようとすると
あこが「いい」って首を振り
「にぃ~にぃ~」と言いながら
おばあの手から髪飾りを取り俺に渡す
笑う、おばあ
「あら~こん子は、お兄ちゃんに付けて欲しいんだね」
俺は少しぎこちなく付けてあげると
おばあが鏡で、あこに見せてあげる
あこは今迄で一番嬉しい顔して俺を見る
「あこちゃんも、少女の顔になってるねぇ」と、おばあが、また笑った
「お似合いのカップルだわ、気を付けていっといで」
「ありがとうございました」と俺が言った横で
あこは、おばあの方に向いて頭を膝ぐらい迄下げた後に不自由な手をいっぱい開いて振った
俺の手を、あこから繋いできて店を出る
あこの手だけで嬉しい気持ちが伝わった




