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鏡  作者: りょう
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閉ざされた扉 2

「どうして俺にそんな話を?」と聞いた

「お前を見た時に俺と同じ目をしてるように思って

何か似たものを背負ってるように感じてな」

何も言わない俺に

「全く違う環境の者や違う考えの者に自分の事や考えを話しても

解って貰える事などないが

同じ様な境遇や体験経験した者同士にしか解らない事ってあるだろ

誰にも理解して貰えない事でも

全く違う傷のように見えても

深い傷を負ったら

痛みは似てて想像する事は出来る

そんな者なら多少は傷も互いに和らげれるように感じてかもな」

と言った


俺の闇を、この男は感じていたのか

俺が感じた同じ目


この男は俺の何が解ると言うんだと思い黙る


「ひとりで喋ったは、すまん飲もう飲もう!」と言って

ビールと摘みを持ってくる


「病院で言った俺がもし犯罪者ならどうしますか?」と、ぼそっと言う

「犯罪にもいろいろあるからな~」

「息子さんが殺されたような感じなら?」

「殺す」と即答してから

「少し前の俺なら迷わず殺す!ただ今は少し違う

殺す前に聞くだろう

なぜ殺したいと思ったのか?

なぜ、そんな感情が生まれたのか」


少し間が空いて俺は、ぼそぼそっと話し出した


「俺には、そんな風に家族や周りに自分を必要だとか愛してくれる人は一人もいなかった

子供の頃から何をしても褒められず認められず自分の存在が無意味に思えた

孤独だった

本当は凄く人と接して家族にも愛され褒めてもらいたいが

家族や周りは俺のする事は全て否定した

存在理由なんてあるのか?

なぜ生きてる、自殺も考えるが臆病だから出来ない

親に反抗する事も周りに自分の考えや意見も出来ない

ただ自分を押し殺して過ごす事しか出来ない

虐めだって受けるが誰も助けやしない

家にも学校にも外にも居場所なんで何一つなかった


そんな奴が大人になってまともに生きれるわけもないだろう?

いや、まともに生きていく者もいれば、それは

そいつが偉いのか....

俺は弱者だ.....」


話を辞めた

少しして典明さんは

「みんな弱い人間で本当に強い奴なんて殆どいないんじゃないかな

弱いから人を羨ましく思ったり妬みや恨んだり腹立たしく感じたり

だから何かが引き金になって自分を見失う事があるんだと思う」


そう言いながらビールを飲む

少し沈黙の後


「あこ、お前によく懐いてるな」

「そうですか?」

「あれは懐いてる姿だろ」と言いながら笑う

「前に聞いた事があって、兄ちゃん好きか?って聞いたら

両手をいっぱい広げて好きって言ってたから

兄ちゃんのどこが好き?って聞いたら

手が好きらしい、なんで?って聞いたら

にぃにぃの手は、すんごく優しいんだって

髪の毛洗ってくれる時、髪とかす時、乾かす時

目が痛い時に見てくれる手

歯磨きする時手伝ってくれる手

お箸を持たしてくれる手

よしよしする時の手に

繋いでくれる手が優しいんだって

じぃじぃは少し痛いらしい」と笑った

「あこ、そんなに喋ったんですか?」

「片言で一生懸命にな、だから、だいたい言ってる事は解るは」

「俺は未だに良く理解してないです」

「あこは上手く話せんから一生懸命みんなを観察して感じて想像して理解する

俺ら以上に良く見てる

だから一生懸命あこのいう事も聞いてあげようと思ったら解るは」


そう話す典明さんの表情は穏やかだった







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