表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からくり空手  作者: 水前寺鯉太郎
第3部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/84

第48話:雑草の意地、冷徹の理

「始めッ!!」

 佐藤の『オンド・プレッシャー』が、制御不能の咆哮を上げた。佐藤は嵐の「機体と心中しろ」という不条理な助言を胸に、右脚のスラスターを物理的に破壊。溶け出したマットの熱を支点に、物理法則を無視した多段ジャンプを敢行した。

 本田のバイザーが異常な熱源警告を吐き出す。

 「直線だと言ったはずだ、ガキ!」

 本田の縦拳を、佐藤は左肩を砕かせて受け止めた。装甲の破片を火花に変え、過熱した冷却水を一気に噴射。

 超高圧蒸気の爆発が本田の『黒鋼』を内側から解体し、マットへ沈めた。

 対照的に、佐野は『ボルシチ・ギア』の関節を全開放し、向井の突進速度を最小限の慣性モーメントで回転運動へと変換した。

 「チェックメイト。……あなたの質量は、もう僕の円の中です」

 投げ飛ばされた向井の巨体が天井を打ち、静寂が訪れる。

 【佐藤:一勝】

 【佐野:一勝】

 「……勝ったぞォォォ!!」

 佐藤の叫びが響く。去りゆく石田の瞳には、かつて捨てた「飢え」が火花となって宿っていた。「白のまま、本戦まで上がってこい。……俺の黒で、直接確かめてやる」

 広島の夜。宇品港の工場から立ち昇る白い蒸気が、瀬戸内の月を白く塗りつぶしていく。

 嵐は二人の背中を見つめ、三浦義一が自分を看送った時のように、静かに、しかし力強く微笑んだ。

 継承は終わった。ここからは、彼ら自身の風が吹く時間だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ