表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
からくり空手  作者: 水前寺鯉太郎
第2部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/84

第33話:背後の死神(アサシン・ストラングル)

 「副将戦――始めッ!!」

 三浦の号令が消えるより早く、木村の視界から「物質」が消えた。ブラジル代表オズワルドの『ブラック・マンバ』が放つ死の静寂。

 (どこだ……センサーが空を掴んでやがる!)

 刹那、木村の首筋に氷のような指が触れた。逃げ場のない完全な背後拘束チョーク。オズワルドの腕から黒いマブイが流れ込み、『隼』の装甲がどす黒く腐食し始めた。

 (届かねぇなら……届く形に作り直すだけだッ!!)

 ギヂィィィィッ!! 木村はマブイを右肩の関節ボルトへ逆流させた。過負荷による爆破脱臼。木村は自らの右腕を内部から破壊し、解剖学的な限界を超えて真後ろへと跳ね上げた。正面を突くのが詠春拳の理ならば、背後を蹂躙するのは木村の執念だ。

 安道流・空:『背理の連環拳リバース・チェイン』。

 ドカカカカカカカカカカッ!!

 背後へのゼロ距離連打。不意を突かれたオズワルドの顔面が歪み、締めが緩む。木村はその隙に、モーターの強引な巻き取りで肩を復位させた。筋肉が断裂する凄絶な音と木村の絶叫がドームを揺らす。

 「影の中に隠れてりゃ安全だと思ったかよ……引きずり出してやるぜ、死神さんよぉ!!」

 木村は独楽のように高速回転を開始。遠心力で自壊しかける機体を執念で繋ぎ、360度の処刑場を形成した。逃げ場を失ったオズワルドは、回転の暴力に飲み込まれ、防壁まで一直線に吹き飛ばされた。

 【日本A 15 - 09 ブラジル】「――勝者、木村ッ!!!!」

 木村は白煙を上げる肩を抱え、崩れ落ちた。「へへ、……だらしねぇ姿見せちまったな」

 駆け寄る田所が、無言で拳を合わせた。日本、二勝二敗。因縁は大将戦へ。

 三浦がゆっくりと立ち上がった。対するシルバ・ドス・サントスが踏み出すたび、マットが圧力による摩擦熱で赤熱し、メキメキと陥没していく。

 「三浦さん……。あいつ、歩くブラックホールだ」

 嵐の警告に、三浦は静かに構えた。三浦が「三戦」を組んだ瞬間、周囲の埃がピタリと空中で静止し、大気が物理的に凝固した。

 「嵐。俺は今から、アンディさえも見なかった『空の先』へ行く。……見ておけ」

 三浦義一、対、重力の化身シルバ。

 ドーム中の空気が三浦の呼吸一つで真空へと変質する。

 からくり空手、本戦第一回戦――究極の激突が、今、始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ