41 ダイフクは俺が貰うにゃ。~無意識の逃亡先と、ミントの優しい抱擁~
やばかったダニ。何か変な事を口走りそうだったダニ。とにかく、ここは危険、何処か安全なところはないのか?
ニャンダバーを飛び出したダイフクは、とにかく走り続けた。逃げるが勝ち。そんな思いで、ダイフクは、今はリーダーの側から離れたかった。
「..........五月蝿いニャン」
うっすら目を開けるクロッチが、側にいたリーダーに不満を言った。
「悪いにゃ。起こしたかにゃ?」
「あの状況で、寝れるお猫様がいるなら教えてくださいニャン」
クロッチは、背伸びをしながら爪を研ぎ出した。
「..........俺を意識して悶えるダイフクが可愛いにゃ」
「ダイフクは、耐えきれず逃げるかもニャン」
「誰が逃すと思うにゃ。クロッチ、悪いけどダイフクは貰うにゃ」
「早く、くっついてくださいニャン」
ツキンと旨に小さな痛みがあったが、クロッチはその痛みを気付かない振りをする。
「..........俺は、もう少しお昼寝するニャン」
クロッチは、再び丸くなって瞳を閉じた。
「いくらリーダーでも、アイツ泣かせたら許さないニャン」
「肝に銘じとくにゃ」
ダイフクとリーダーの糸が絡まる始める。ダイフクが、女の子である事は周知の事実だった。今まで、誰も手を出さなかったのは、ずっとリーダーが守っていた。半年毎に訪れる発情期には、ダイフクの側に雄のお猫様を近寄らせなかった。ダイフクの側には、リーダー、玉無しの儀式を受けたお猫様、牝のお猫様だけだった。
「ダイフクは、遂にリーダーの嫁になるのかニャン」
クロッチは、親友の幸せを願いながら、夢の中に旅立って行った。
ドドドドドドド。お猫様は、足音を立てずに素早く走る生き物。ダイフクは、ホワホワの長めの毛をなびかせ、足音を消すという事も忘れて走っていた。途中ダイフクに声をかけるシロジやムーンの声が、ドラップラー効果を発揮している。
「とにかく、ニャンダバーから離れるダニ」
とにかく走って走って走りまくった。そして、ふと足を止めて目の前の建っている建造物を見て、ダイフクは絶句した
「何で無意識に走ってここに来てしまうダニ」
目の前に建つは、3丁目の喫茶店。チャイロの潜伏先。そして、ニャンダバーの縄張りでもある。
「..........ここじゃ、リーダーに直ぐに見つかってしまうダニ。クロッチの高笑いが聞こえてくるダニ~」
「アレ、ダイフクさん?1匹できたニャン?」
落ち込むダイフクに、呑気な声をしたチャイロが声をかけた。お店側の植え込みから、もう1匹ズボっとアッシュグレーの毛並みをした、可愛らしいお猫様も顔を出した。
「ダイフクさん、お久しぶりですの」
「..........ミ、ミントちゃ~ん。俺、どうしたら良いダニ~」
情けない声を出しながら、ミントに縋り付くダイフク。
「あらあらあらですの」
ミントとチャイロは、顔を見合わせた。涙と鼻水でグチュグチュのダイフクを、ミントは優しく迎え入れた。
「ミントちゃん、俺ちょっと出かけてくるニャン(ニャンダバーに行ってくる)」
「わかったの(ダイフクさんは、任せて)」
3丁目の喫茶店のお庭で、ダイフクは暫く泣き続けた。




