36 約束の満月と最後のおでこごっちん。ダイフク、希望を繋ぐ誓い
お座布団の上で、ダイフクは少しだけだと思いながら眠りに着いた。背中を優しく撫でられ、心が穏やかになっていく。
「ばあちゃん、........ありがとうダニ」
背中を撫でる手は、皺くちゃではなく、ゴツゴツとした大きな掌だった。
「......ダイフク、ダイフク」
お座布団に眠るダイフクをゆり起こす。
「ダイフク、起きるニャン」
「......クロッチ」
寝惚け眼を擦り、ダイフクはユックリ起きた。
「ダイフク、大丈夫ニャン?」
「たぶん?ダニ」
「俺達もばあちゃんに挨拶してもいいかニャン?」
「も、もちろんダニ」
お座布団の上からダイフクが離れると、クロッチからばあちゃんにおでこをゴチンと最後の挨拶をしていく。
クロッチ、そしてリーダー、その後も沢山のお猫様がばあちゃんと最後の挨拶をした。
「リーダー、クロッチ。あのお猫様たちは、誰ダニ?」
「......ダイフクと同じようになるばあちゃんが、助けたお猫様だにゃ」
「俺と同じ?」
お猫様1匹1匹、ばあちゃんにおでこを擦り寄せ、別れの挨拶を交わしていく。
「リーダーは、ダイフクみたいなお猫様を助けてはばあちゃんの元に連れて行ってたニャン」
「みんな、ばあちゃんが助けたダニ?」
「そうニャン!みんなばあちゃんが大好きだったニャン」
挨拶を終えたお猫様は、1匹、1匹、リーダーと言葉を交わしてお庭を去って行った。
そして、お庭には、ダイフク、リーダー、クロッチの3匹が残った。
お空は、オレンジ色から藍色に変わっていた。
「ダイフク、今日が最後の日にゃ。お前はどうしたいにゃ?」
藍色のお空を見上げるとまん丸なお月様が登っていた。ダイフクは、お家の中で眠るばあちゃんを見た。
「ばあちゃん、嘘つきじゃなかったダニ。まん丸なお月様、一緒に見てくれたダニ」
「ダイフク、泣き虫だニャン」
ダイフクとクロッチは、その場で大粒の涙を流して泣いた。
リーダーも藍色のお空に浮かぶ、まん丸なお月様をずっと見つめていた。
「......リ、リーダー!俺をニャンダバーのお猫様の仲間にして下さいダニ!」
「リーダー!俺からもお願いしますニャン」
ダイフクとクロッチが、大きな声でリーダーに叫ぶ。
「俺は、ばあちゃんみたいな人間を探し、リーダーみたいに、俺みたいなお猫様の希望を繋ぎたいダニ!だから、俺をニャンダバーに入れてくださいダニ!」
涙を流しながら、声高々に宣言したダイフク。
「..........わかったにゃ」
秋晴れのお空に、ばあちゃんは煙りになって空高く登って行った。
ばあちゃんが住んでいたお家には、タカシと光子、そしてその子供たちの笑い声がいつも聞こえてくる。
縁側には、いつまでもお猫様を迎える為のお座布団が置かれている。




