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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2021.2.
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155/2529

ちりめんきずな




 二月と三月。

 毎日毎日、同じ時間、同じ場所で。

 純白の衣冠を身に纏い。

 薄紅の面に純白の骨と要の扇を手に持って。

 冬を無事に過ごせることに感謝して、舞い。

 春を無事に迎えられるように祈願して、躍る。


 固い土の日もあれば。

 柔らかい雪の日もあり。

 ぬめった土の日もあれば。

 柔らかい草の日もあり。

 ふっかふかの土の日もある。


 今日も今日とて。

 指定の場所に立ち、袂から布袋を取り出す。

 灰紅の布地に白梅が一輪だけ刺繍がほどこされたその中から、扇を取り出した、ら。


 扇の山と谷から短い糸が生え、その先には星があることに気づいた。


 星は色々なちりめん布で作られているようだ。

 糸巻、苺、犬、猪、梅、唐辛子、人参、這い人形、羽子板、蛤、春駒鶏、鬼灯。

 まだまだあるが、あとは家に帰ってゆっくり見ることにして、目で追うの止め、舞い、躍る。


 心惹かれるものがあったのだろう。

 いつもは遠巻きにしか見ていない雪犬が近づいてきては、星の後を追う。

 跳ねたり、かがんだり。まるで躍っているよう。

 心中だけで口の端を上げる。


 




 舞い踊りが終わったら、星を前面に押し出しながらも、雪犬を抱きしめ、思い切りもふらせてもらおうと飛び跳ねたら、威嚇の渋面を向けられたかと思えば、目にも止まらない速さでここから去ってしまった。


「お父さんたちの着物が臭かったのかな?」

「まだまだ舞い手として認められてないってこと」


 振り返れば、姉が居たので、飛び跳ねて思い切り抱きしめた。 


「お父さん、お母さん、お兄ちゃん、お姉ちゃんたちが着なくなった着物から作ったんでしょ?」

「うん。勝手につけちゃった。重くなったでしょう?」

「ううん。心強かった」


 にっこり笑って、姉の手を取り、早く昼ご飯を食べようと歩き出す。


「みんな今年は帰ってくるよ」

「一人前になったところを見てもらわないとね」

「うん」

「じゃあ、明日はこの星たちはなし。三月の終わりまでは家に飾っておくから。ね?」

「うー。むー。うー。ん」

「うん」


 姉から頭を少し乱暴に撫でられて、くしゃくしゃになった髪はそのままに、私も手伝うと元気よく言った。


「ありがとう」


 ごめんねは禁止。

 そう妹に言われたので、ごめんねの気持ちをありがとうの言葉に少しだけ込めて姉は伝えた。


(ああ、でも、ありがとうがやっぱり大きいよね)


「よし。着物全部使っちゃおう!」

「おー!」







(2021.2.25)




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