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掌編小説シリーズ  作者: 藤泉都理
2020.12.
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ゆき合戦




「ゆき合戦しようぜ」

「おう」


 十二月三十一日。

 雪合戦や雪だるまを作れるくらいに雪が降っていたらしいが、俺たちが生まれてからはひとひらすら降らなくなってしまったこの町で、毎年この日にゆき合戦をする。


 雪、ではなく、幸、合戦だ。

 その年で一つ、一番幸せだと感じた事を互いに言い合う。



 給食のメニューでカレーが多かった。

 あ、うそつけ。給食だったら野菜サラダが多かっただろう。ゆでたほうれん草とコーンとベーコンのやつ。

 うっせ同じくらいカレーも出てたんだよ。

 そんなにカレーがいいのか。俺はからあげの方が好きだけどな。

 ざんねんでしたー。からあげはめっちゃ少なかったもんな―。じゃーあー、おまえは今年幸せじゃないじゃーん。

 ばっかばーか。給食のクリスマスケーキがフルーツタルトだったから超幸せなんですよー。

 ばっかばーか。クリスマスケーキといえば、イチゴショートケーキだろうがー。

 ばっかばーか。フルーツタルトですー。

 イチゴショートケーキですー。

 


 そんな事が幸せなのかよ。

 互いに軽い悪態をつきながら、公園からはりきっているどっちかの家に向かいこたつに入ってお汁粉を食べ合う。


 友達になってから八年毎年毎年変わらず。


 ゆきがふってんなあと笑い合う。


 笑い合い続けられると信じていた。






「ゆき合戦しようぜ」 


 声は聞こえないけれど、きっと、でかい声でおうと言っているに違いない相方にゆきを投げつける。


















「おい!もー!むり!むり!むり!手の感覚がなくなってきた!」

「何言ってるかわからんが戻りたいって気持ちは伝わってきた!」


 二十五年ぶりの雪、生まれて初めての雪にテンションが爆上がりした俺たちは早速雪合戦を開始したが、限界が訪れたようだ。

 未だ天から牡丹雪が降り注ぐ中、テンションだけは爆上がり中の俺たちは、俺のアパートに向かう。

 待っているのは、おふくろから教わった俺お手製のお汁粉だ。


「明日から会えなくて寂しいぞー!」


 なにやらわめいている相方の門出を祝うように、ゆきがしめやかに振り続ける。

 

「今年は俺の負けだな」

「今年もまた勝負がつかなかったな」











(2020.12.31)




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