8章 錬金国家の貴族158-戻りたくない理由-
次の日の朝、ハロルドの元へと向かった。
彼は商人ギルドにいた。
「ハロルド、久しぶり!」
「セッテ男爵⁉︎どうして…親父の差金か」
「辺境伯様から手紙を預かってきた」
「…親父にこう伝えてくれ。『ハロルドは死んだ』と」
「目の前にいる貴方は幽霊ですか?生きてますよね?」
「あんた分かってて言ってるよな?」
「はて、何のことやら?」
辺境伯の手紙の内容は、『辺境伯子息ハロルドは仕方なく謀反に加わった、という事になった。なのでアズモディアにいる理由もないのですぐに戻ってこい』とのこと。
「それで、戻りたくない理由は?」
「…話したくない」
「そうか。残念だ。内容次第では協力しようと思ってたけど、力づくで連れ帰るしかなさそうかな?」
「男爵様、連れの女性達に武器を仕舞うように言ってもらえないですか?」
後ろを振り向くと、3人は武器を取り出していた。
「俺より血の気が多くない?とりあえず武器はしまってね」
「話しますけど、笑ったりしないでください…」
ハロルドは少し恥ずかしそうに言った。
「…実は生涯を共にしたいと思った女性がいて…」
その女性の事を聞いた。
「相手の方はこの国の貴族で、後継者だからこの国から出れない。だから死んだことにしてでもこの国にいたいと」
「そうだ。何か問題はあるか?」
「あります。他国の貴族が身柄を預かってもらってる国で亡くなったとなると、国際問題になるだろうし、そうなったら、この国に送った貴族も何かしらの罰を受けるでしょうね」
「だよなー。そうなると親父を説得するしかないが…」
この時、商人ギルドの扉が勢いよく開き、猫の獣人の女性が1人入って来た。




