出会い
「あ……、ここか。」
階段をあがって2階の一番奥。
部屋の横にかけられているプレートには『使用中 B-5』と書かれていた。
防音になっている重そうな硬い金属の扉を数回ノックした。
待って数秒。
私はその扉をゆっくり開けた。
「おおー!ホントに来てくれた!!」
聞き覚えのあるアルトの声質。
それと重なるちょっと低めの声。
ソレに私は出迎えられた。
「神崎…さん?」
訊ねられて我に返る。
「ライブで見たときと同じ顔だー。」
率直な感想はそんなものだった。
その感想に1人が笑った。
「神崎さんって……」
その言い方に反発したくなる。
「ん。咲でいいよ。」
「そお?じゃサキって呼ぶね~。」
多分この人が玲なんだろう。
メールの言い方とちょっと似てるし。
「でも、俺は神崎さんって呼んでもいい?」
そう聞こえたほうには、悠がいた。
律儀派なのかな~。
「うん、いいよ。」
「サンクス。」
「また、サンクスって言ってるし!」
玲が言った。
また?
「あ、ごめんね。こいつすぐにサンクスって言う癖があってさ。」
「きにしないよ?」
「ほらー。神崎さんは分かってくれるよ!」
なんだよー ってすねてる玲。
「でも私は、なんて呼べばいい?」
呼び方に困る。
そう思ったから聞いた。
「うーん、俺は玲でいいよ。」
「俺も。悠って呼んで?」
……なんかかわいい。
特に悠が。
子供っぽいっていうか。
「OK。」
そう言った私はあることに気づいた。
あれ?
一人足りない……?
そう思って目で探すと、いた。
後ろのほうに。
今までは玲と悠に遮られてただけだった。
そこには翔がいた。
当然だけど。




