焦りの砂浜に諦めの漣が寄せては返す
無性に焦っているときがある。もっと何かしよう、少しずつでもいいから前進しようとする自分が居て、意外とそういう時はコツコツ書き物をしたり部屋を片付けたり、人に会いに行ったりも出来る。
でも、すぐに諦めの漣が足元を冷やしてくる。
2026年で40になる。19の夏には挫折して帰って来て、そっからずっと地元に居る。
うわ、終わってる!!
って思って何も手につかなくなる。ぜんぶ手遅れ、なんも意味ない、と思えて、体中から力が抜ける。仕事してメシ食って寝るだけしか、もうないんじゃないかって。
人を好きになったって自分は好かれないし、
何か目標を立てたって上手くいったためしがない。
ショックだったことが一つあって、去年の夏に引き継いだ仕事の現場の一つが、それこそ19の冬に出入りしてた工場だったんよ。それを何気なく前任者に話したら
「ずっと地元に居ると、そういうこともあるよねえ」
って何気なく返されて。
ああ。自分は二十年も無為に過ごしてきたんだ…。
って。全然そんなつもりのない会話で、全然そんなつもりも何も私のことなんか作業着姿しか知らない人に言われただけの、なんてことのない返事がこんなに深々と突き刺さるとは。
あれからずーっと、ああもう20年も経ったのかと。
その間ずーっと何をしてきたんだか。
何にもなってないなあ。
焦りも諦めも凪になると、本当に心って死んだように静まり返って灰色になるんだよな。
曇天の夕暮れ時の海ってこんな感じだよ。
20年かあ。
何度その間に死ねただろうか。
その間も生きてて何がよかったんだろうか。
楽しかったことがあって、そのときは良かったんだろうけど。
気が付けば、ひとり手ぶらで砂浜に突っ立って茫然としている。好きな人は遥か遠くの島に誰かの船に乗ってゆく。夢見た世界は遠くの星にあるみたい。砂浜に何か書いてみても波に消されてゆく。通り過ぎた人々の足跡だけが消えずに残っている。
無数の足跡に囲まれるように曇り空の砂浜にひとり。




