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#対人依存症。和哉くんは生きづらい!  作者: 佐野和哉


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67/80

売らなきゃハドソン♪

桃鉄とか桃太郎伝説のコマーシャルで桃太郎のコスプレしてたのってアイドルなのか女優さんだったのか、すげー可愛くなかった?

今時どれだけの人がハドソンの桃太郎シリーズを分かってくれるかはサテオキ。


売らなきゃ損である。

「ただで差し上げたものに対してこちらが思うような効果とか有難みは殆ど無かった」

というのが人生初の単行本デビューを果たし、あちこちで受け取ってもらった結果の感想である。やっぱり買ってもらわないとダメだ。

こればっかりは自分が甘かった。買ってもらう、ということは、当たり前だがトンデモナイことだ。税込み1650円も支払っていただかなくてはならない。そこから逃げていてはいけなかったのだ。


現にちゃんと買ってくださった方が本当に自分で思った以上に大勢居て、それも全然知らない人が買って下さったうえネットに感想をアップしてくれる。顔も名前も知らない人の本なんて買ってもらえない、と思って私は割と自分の姿カタチ(とコトワリとマコト)もネット上にさらけ出しているけれど。

それでもよく知らない人の本を、表紙を見たりパラっとめくってみたりして買ってくれる人の有難みといったらない。

何度でも何年でも感謝し続けていたい。


ちなみに〝つまらなかった〟系の感想を書く人は末尾に判で捺いたように

「でも中古だから」「図書館なので」

と金銭的なセーフティを殊更アピールしていたのも印象的だ。


新品で買ってくださったうえで楽しんでもらえなかったのは自分が悪い。

それすらも糧に書き続けるしかない。

差し上げたもので何も言ってもらえないと、そもそも読んですらないんだろうなと思う。だって別に勿体なくもないし、欲しくも無かったし要らなかったのだろう結局。

渡されて、デビュー作だのなんだの言い出したらムゲに突き返すことも出来ないし。売り飛ばせばタバコ代ぐらいになると思って受け取ったのかもしれない。

なのでまあ自分が甘かった。

名刺代わりにと思っての行動だったが、それなら名刺を渡せばいいだけだ。

それなのに、たまさか何処かにお邪魔して挨拶させてもらおうと思った時に限って名刺も何も持ってない。また今度と思ってるうちに機を逸する。その繰り返しでもあった。

そんな自分に腹が立って仕方ないが、考えてみりゃ勝手に拵えられて産み落とされて四十年近く無駄にしかして来なかったのだから、今更たかが1日を惜しんだところで何も変わらないしどうしようもない。早いとこ死んじまわなかったお前さん悪い、と死神が医者の看板を片手にアジャラカモクレンを唱えてる。

あの本だってきっとそうだ。こんなにナフサだのインクだのニュースになるなら少しでも備蓄に回したかっただろう。あんなもののために。

本として出すだけなら何処かに載せてればチャンスがある。

そのまま求められ続けることが出来るのは本当に本当の一握りだけ。メキシコのスペル・エストレージャと同じだ。メキシコに行くだけならお金を払えばいいだけだ。

そこで這い上がって一つ成し遂げるには並大抵ではない道を行かなくちゃならない。

私は20年たっても、まだ見飽きた砂利道を何万回もトボトボ歩いている。


いちばん悔しかったというか、今でも(今に見てろよ)と思ってるのは、出版社が渡した奴等だ。

そいつらだって私ゃ名前も知らないような連中なのに、そんなのにすら黙殺される屈辱ったらなかった。

担当さんには糸井重里さんや伊集院光さんにお渡ししたい、と言ったけど、そっちは

「なんのツテも何もないから」

と断られた。で結局その代わりに送った連中や、どこぞの小説紹介クリエイター様とやらにシカトされるぐらいなら、自分の取り分の見本版を糸井さんと伊集院さんに渡してナシの飛礫のほうがまだ納得がいく。

一応何人かは「もらいました」ってツイッターに載せるだけ載せてやがったが、絶対どうせ読んでないに決まってる。こっちも儀礼としてリプライしたが、それに対する返事もほぼ無かった。

まあそういうもんなのだろうが、しかしキッチリ恨むぞ。


自分で自分が好きになれないから、自分の物語の中でぐらい自分より少しはマシな和哉くんを動かしている。二十代半ばの和哉くんは、もうすぐ不惑の私よりも楽しそうだし、無二の親友と今日もミナミで飲んだくれているようだ。

夏だし、一つぐらい新作を出したいね。


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