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#対人依存症。和哉くんは生きづらい!  作者: 佐野和哉


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ボンクラがボンクラらしく暮らしていけるのが本当に豊かな世の中じゃないか。

子供の頃から商売というものが怖い。

畏怖というのか、もう本当に〝それだけは勘弁してくれ!〟と思う。

戦争とか拷問の次ぐらいに辛い。

イヤだというんでもないし、嫌いでもないし、商いを生業にしている人への感謝と敬意は持っているつもりだ。でも、自分がそれをやる、となると怖くて仕方がない。

なんだろうなこれは。


昔から苦手なんだ。

幼稚園とかでも将来の夢でよくあるケーキ屋さんとか魚屋さんとか、お店屋さんをやりたいとは書かない方だった。なんとなくかっこいいからって理由で大工さんって書いたことはあったけど、単に角材を担いだりトンカチを振ったりしたかったんだろうなアレは。

実際、紙ヒコーキも満足に折れないくらい不器用極まりない私には到底つとまらないんだと今なら思う……そして大工さんだって基本的には工務店とか建築会社の社長さんなわけで。社員の場合もあるけど、ああいう人たちって独立して自分の技量で食ってるじゃん。あれがかっこいいと思う反面、自分にはどうにも…商売、自分で自分を売り込むことの怖さはとてつもない。

子供の頃から、何かを売り歩く姿を想像してはイヤだイヤだと震えてた。


別に偏見もなにも、豊橋の街中で生まれ育ったからか店や会社をやってる家の友達が多かったし親類もオートバイ屋さんに喫茶店と商売やってる家が多い。

漠然と、そういう人たちを見ているうちに厳しさとか難しさを感じ取ってしまったことと、ここでよく書いてるように当時は家庭内暴力に遭ってたから「お前なんかダメだ」「臭い」「アトピーが気持ち悪い、汚い」と毎日延々と言われ続けたことが混じってしまったのかもしれない。

おかげで接客業のバイトはアレコレ経験したけど、自分で自分を立てて売り込むのは怖いし、飲食店だけは今でも多分できない。実はちょっとやってみたけど、お客さんがお金を払って口に入れるものに自分が触れるというだけで飛び上がるぐらい怖いしハッキリ言えば嫌だった。自分で自分に対する嫌悪感が拭えないばかりか増す一方。

優しい人ばかりだったのにストレスが酷かった…申し訳ないことをした。

今でも作家ヅラしてるけど、自分で積極的に動くのは怖い。

どーも!作家です!!コレコレこんな本を書きました!第11回ネット小説大賞も受賞しています!!

って満面の笑みの写真と一緒にプロフィール載せて、名刺配って歩けたら今ごろ随分違っていただろう。

でも、そもそも自分の見積もりが極端に低いし、その理由も自分がいちばんよく知ってる

それを結果的には隠して他人の前に出るわけで。

仕事、趣味、どちらにしても他人からは見えない部分を抱えて知らん顔をしている。

鬱屈とした自分の自己評価がずっとじわじわ雨漏りか浸水のように蝕んでいるから、いつか屋台骨が折れる。それも怖いけど、そもそも屋台骨がゆがんでるし腐っているんだよな。

折れるとわかってる柱にすがって家を建てるなんて土台無理なんだから、この商売に対する恐怖心は克服できるようなものではないとあきらめるしかない。


フリーランスで仕事してるなら尚更、そういう恐怖と如何に折り合いをつけているのだろうか。もちろんそれが性に合う人も居るし、自分でやっていきたいと思える人ってどんな時代でも居るもんだ。

身近な友人でも将来は飲食店をやりたい、一人親方の職人になりたい、デザイナーが合ってる、と言う人がいる。


そういう人らが報われる世の中であってほしいし、そのためには雇われようが起業しようが基本的には生産的な仕事が報われてほしい。事務も役所もなんでもそうだけど、地道で退屈で単調な仕事ほど軽んじられてしまうのではやり切れない。

起業!投資!みたいなことばかり儲かるんじゃ、私みたいに自分の器量でやっていけないボンクラは食い詰める一方だ。

ボンクラがボンクラらしく暮らしていけるのが本当に豊かな世の中じゃないか。

そう思うんだけれどねえ。


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