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第五話 毒蛇の誘惑

 転移から二週間が経過した。

 俺の派閥は三つの村を傘下に収め、総人口千二百人を超えていた。

 レベルは俺が22、カルボン19、健太18。


 その朝、斥候が興奮気味に報告してきた。

 「毒」の神子・霧島零から使者が来たという。


 使者は黒髪の美しい女性だった。

 零本人は直接来ず、毒の霧で作った投影体で会話してきた。紫がかった髪と、妖しい笑みが印象的だ。


「柊壮馬くん。噂は聞いてるわ。炭素の神子様ね。私と組まない? 毒と炭素、相性抜群よ。活性炭で毒を封じ込めたり、毒をコーティングした炭素針とか……面白いでしょ?」


 甘く響く声。だが目は冷たく計算高い。


 俺は世界の目で彼女のレベルを確認——22。俺とほぼ互角だ。


「悪いが、俺は自分の派閥を自分で統べたい。対等な同盟なら検討するが、配下になる気はない」


 交渉は決裂した。


 その夜、紫色の毒霧が村全体を覆った。

 村人たちが苦しみ始め、カルボンの植物も萎れていく。


「来たな!」


 俺は即座に多孔質炭素膜を展開。毒を吸着し、無力化する。

 カルボンが植物のバリアを張り直し、健太が鉄の槍で前衛を務める。

 連携は完璧だったが、零の毒は予想以上に多彩で、俺たちを翻弄した。


 最終的に零の投影体を捕らえ、本拠地を吐かせた。

 直接乗り込むと、零は意外と小柄な少女だった。毒々しい紫髪と、挑発的な笑み。


「……負けました。殺すの?」


「いや、配下になれ。君の毒の知識は貴重だ」


 零はしばらく俺を睨んでいたが、力尽きて了承した。


 こうして派閥に女性が二人増えた。

 カルボンが少しだけ頰を膨らませて俺の袖を引っ張るのが、なんだか微笑ましかった。


「ご主人様……零さん、ちょっと危ない感じがします」


「心配するな。お前が一番大事だ」


 夜、零が俺の部屋を訪れた。

 彼女は妖しく微笑みながら、毒と炭素の共同研究を提案してきた。

 俺は研究者として、その提案を真剣に受け止めた。

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