第7章 限界と救い
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雷兆を失ってから数日。
双雷は夜ごと異形者と戦い続けていた。
電磁バリアを纏い、飛雷針を放つ。
怪物は炭と化す。
「はぁ……はぁ……よし……一体……」
だが、その顔は疲労で青ざめていた。
傷は増える一方で、神力の消耗も激しい。
俺ひとりじゃ……いつか死ぬ。分かってんだよ、そんなことは。
だが足を止めるわけにはいかない。
雷兆の言葉、母の笑顔、背負った罪。
そのすべてが彼を動かしていた。
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その夜。
双雷の前に現れたのは、またしても“特級”だった。
以前戦った怪物よりもさらに巨大で、四本腕を持ち、瘴気は街を覆うほど濃い。
「……マジかよ……!」
恐怖で膝が震える。
それでも逃げる選択肢はなかった。
「来いよ……俺は、もう退かねぇ‼」
飛雷針を放つ。
だが怪物は腕で弾き返し、返す爪で双雷を吹き飛ばした。
「ぐはっ‼」
地面に叩きつけられ、血を吐く。
視界が揺らぎ、立ち上がることすら困難だった。
「くそ……動け……動けよ……!」
怪物の影が迫る。
瘴気が肺を蝕み、意識が遠のいていく。
「……師匠……ごめん……俺……ここまで、か……」
その時――。
閃光が走った。
怪物の動きが一瞬止まり、炎の矢がその体を貫いた。
「えっ……?」
視界の端に、長い髪を揺らす少女の姿。
手には神弓を構え、瞳は鋭く光を放っていた。
「立てるか、アンタ!」
凛とした声が夜を裂いた。
双雷は呆然としたまま、その背中を見つめる。
――その瞬間、心に強く刻まれた。
ああ……俺は、ひとりじゃなかったんだ。