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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生

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第6章 孤独なる雷と特級の影


⸻


 雷兆が倒れた直後――。


 目の前には、まだ特級怪物が立ちはだかっていた。

 全身から瘴気を吐き出し、血走った瞳をギラギラと光らせている。


「……師匠……俺がやるしかねぇんだよな」


 震える手で三寸釘を握りしめる。

 全身は恐怖で固まっていたが、それ以上に胸の奥で燃えていたのは怒りだった。


「テメェは絶対にここでぶっ倒す‼」


 電磁バリアを纏い、双雷は飛び込む。

 爪が迫る。

 咆哮が耳をつんざく。


 必死に飛雷針を放つ――!


「喰らえぇぇ‼ ――【飛雷針】ッ‼」


 稲妻の閃光が怪物を直撃する。

 しかし、巨体は揺らぐだけで膝を折らない。


「嘘だろ……効いてねぇのかよ!」


 反撃の爪が双雷を吹き飛ばす。

 地面に叩きつけられ、肺の空気がすべて押し出された。


「ぐっ……はぁ……!」


 立ち上がろうとしても、足が震えて動かない。

 怪物の口が裂け、今にも喰らい尽くそうと迫ってくる。


 その時――。


 雷兆の声が、脳裏に響いた。

 『俺の分まで贖え、双雷』


「……ッ‼」


 全身に力が漲る。

 残った神力をすべて込め、最後の三寸釘を握りしめる。


「これで……終わりだぁぁぁ‼」


 雷光が指先から迸り、釘は閃光の槍と化して怪物の頭部を貫いた。


 爆裂音とともに、特級怪物は悲鳴を上げ、瘴気の霧となって消え去る。


「はぁ……はぁ……や、やった……」


 その場に崩れ落ち、夜空を見上げた。

 星はひとつも見えず、ただ黒い闇だけが広がっている。


「……師匠。見てたかよ……」


 涙が頬を伝う。

 それでも、彼は生き延びた。

 たったひとりで、特級を討ったのだ。


⸻


 数日後。


 双雷は神社を拠点にし、ひとり夜の町で異形者を狩り続けていた。

 だが、代償は大きい。

 体はボロボロ、心は孤独。


「……けど止まれねぇんだ」


 拳を握る。

 雷兆の遺志を継ぐため。

 母を悲しませた罪を贖うため。


「俺は……最強になる。必ず」


 その誓いを噛み締めた時――。


 遠く離れた町で、一人の少女が異形者に追われていた。

 必死に走りながらも、彼女の瞳には光が宿っている。


 ――やがて、その運命が双雷と交わることを、彼はまだ知らなかった。

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