第31章 雷炎共鳴
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街を覆う瘴気の中で、嫉妬の化身は膨れ上がり続けていた。
その胸部で脈打つ“核”は、禍々しい鼓動を響かせている。
「……アレを叩かなきゃ、何度でも蘇る」
双雷が雷牙を握りしめ、低く言った。
「でも……私の炎だけじゃ届かない」
水京が弓を構えながら答える。
「アンタの雷も同じ……弾かれて終わり」
二人の視線が交わった。
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「……なら、合わせりゃいい」
双雷が口角を吊り上げる。
「俺の雷と、お前の炎……同じ“熱”を持った力だろ」
「合わせる……?」
水京の目が見開かれる。
「お前の炎に俺の雷を通す。
雷牙で導いて、矢と一つにする……そうすりゃ核まで突き抜けるはずだ」
「……そんな無茶……!」
水京は一度否定しかけたが、双雷の目を見て言葉を飲み込んだ。
その瞳には、迷いのない決意が燃えていた。
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「……分かった」
水京は深く息を吸い込み、弓を握り直す。
「やってみましょう。――二人で一つの矢を放つの」
「上等だ‼」
双雷は雷牙を掲げ、刃に稲妻を走らせる。
水京はその刃に矢を添え、炎を纏わせた。
雷と炎がぶつかり合い、轟音と熱が境内を揺るがす。
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「――雷炎共鳴ッ‼」
二人の声が重なった。
矢が放たれた瞬間、雷牙から迸った稲妻が炎と交わり、一本の閃光の矢へと昇華する。
夜空を裂く雷炎の閃光は、まっすぐ化身の胸を目指した。
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《ぐああああああああッ‼》
核を守る瘴気の壁を突き破り、雷炎の矢が胸部に食い込む。
黒い巨体が大きくのけぞり、悲鳴を上げた。
「効いた……‼」
水京が息を呑む。
「見ろよ……やっぱり届くんだ!」
双雷は雷牙を握り直し、吠えた。
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だが核はまだ砕けていなかった。
深紅の鼓動が再び高鳴り、化身の瘴気が荒れ狂う。
《妬ましい……妬ましい……! その力すら我に取り込んでやる‼》
化身の口々が咆哮し、空が裂けた。
だが双雷と水京はもう怯んでいなかった。
二人の間には、新たな“共鳴”が確かに生まれていたのだから。




