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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生

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26/33

第26章 嵐の前の灯火


⸻


 決戦を明日に控えた夜。

 神社の境内には、焚かれた篝火が揺れていた。

 炎の赤と、月明かりの白が交じり合い、静かな光を放つ。


 双雷は雷牙を膝に置き、無言で刀身を磨いていた。

 稲妻を宿す刃は、磨かれるたびに淡い光を返す。


「……落ち着かない?」

 水京が隣に腰を下ろし、問いかけた。


「いや……逆だ」

 双雷は刀を見つめたまま答えた。

「落ち着きすぎて怖ぇくらいだ。

 明日、死ぬかもしれねぇのにな」


⸻


 水京は少し黙り込み、それから空を仰いだ。

「……私も同じ。怖いのに、不思議と静か。

 でも、それはきっと――」


 彼女の瞳が揺れる篝火を映す。

「隣にアンタがいるから、だと思う」


 双雷は驚いて目を見開いた。

 だが次の瞬間、照れ隠しのように鼻を鳴らす。


「……へっ。なら絶対に死ねねぇな」

「そうね。二人で生き残る。それが約束よ」


⸻


 篝火の前で二人は肩を並べ、言葉少なに夜を過ごした。


 虫の音。

 木々のざわめき。

 遠くで雷鳴が響く。


 嵐が近づいているのを、誰もが感じていた。


⸻


 やがて水京がそっと口を開いた。

「ねえ、双雷。もし明日……どっちかが倒れても――」


「言うな」

 双雷が遮る。


「そんなフラグみてぇなこと言うなよ」

 顔は真剣そのものだった。


「俺は死なねぇし、お前も死なせねぇ。

 二人で勝つ。……それ以外は考えねぇ」


 水京は一瞬きょとんとして――

 ふっと笑った。


「……ホント、アンタってバカ。でも――頼もしい」


⸻


 篝火がはぜる音。

 夜風が頬を撫でる。


 雷牙は静かに膝の上で輝き、明日の戦いに備えていた。

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