第25章 嫉妬の真実
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修練を終えて数日後。
神社の本殿に集まった双雷と水京は、水神宮司の前に座していた。
「……そろそろ話しておかねばなるまい」
宮司は静かに口を開いた。
「嫉妬の化身とは、ただの異形者ではない。
人の心から生まれた、最も厄介な存在だ」
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「人の……心……?」
双雷が眉をひそめる。
「ああ。
この嫉妬区は、かつては芸能や富で栄えた土地だった。
だが同時に、人々の心には“羨望”と“妬み”が渦巻いていた」
宮司の瞳が蒼く光る。
「その負の念が積もりに積もり……瘴気に喰われ……やがて形を持った。
それが“嫉妬の化身”」
「……じゃあ、アイツは人間の……感情の成れの果て……」
水京の声は震えていた。
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「だからこそ厄介だ。
斬っても、焼いても、瘴気と共に人の心があれば再生する」
宮司は険しい表情で言葉を続ける。
「完全に討ち果たすには……その“根”を断たねばならぬ」
「根……?」
双雷が身を乗り出す。
「この地の瘴気の源だ。
嫉妬に狂い、最後まで妬みを抱いたまま死んだ人間の“魂”が、化身の核になっている」
「人間の……魂……!」
双雷と水京は目を見開いた。
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「……それって……」
水京が言い淀む。
「化身を斬るってことは……その魂ごと、斬り捨てるってこと?」
「そうだ」
宮司は重く頷いた。
「だが放置すれば、この区は人ごと呑み込まれる。
――どちらを選ぶかは、お前たち次第だ」
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境内に沈黙が落ちた。
双雷は拳を握りしめ、雷牙の柄を握る。
「……上等だ。
俺はどんな相手でも斬る。たとえ“人の魂”でも……!
守るためなら……ためらわねぇ‼」
瞳には決意の光。
水京はそんな双雷を見つめ、強く頷いた。
「私も一緒に背負う。……妬みの魂ごと、浄化してみせる」
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その夜。
遠くの空に稲妻が走った。
まるで化身が二人の決意に応えるように――
あるいは、次の戦いの幕開けを告げるかのように




