第24章 雷牙の修練
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眷属を退けた翌朝。
境内にまだ焦げた匂いが残る中、双雷は雷牙を握っていた。
「……強いのは分かった。でも、加減が全然できねぇ」
昨日の戦闘で、石畳を砕き、神社の柱を焦がした光景が頭をよぎる。
「その刀は“雷そのもの”。振るうたびに周囲を巻き込む」
鋼次が腕を組み、睨みつけるように言った。
「ただの力任せじゃ、いずれ自分ごと焼き尽くすぞ」
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「じゃあ……どうすりゃいいんだ?」
双雷が眉をひそめると、横から水神宮司が口を開いた。
「雷は心に応じて荒ぶる。制御する鍵は、お前の“感情”だ」
「感情……?」
「怒りのままに振るえば暴走し、迷いのままに握れば力は濁る。
だが――覚悟をもって握れば、雷は澄み切った刃となる」
双雷は息を呑んだ。
師匠・雷兆の言葉と重なった気がした。
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その日から双雷の修練が始まった。
⚡ 雷牙を抜き、空に斬り上げる。
稲妻は制御を失い、森の木をなぎ倒す。
「くそっ……まだ暴れる!」
⚡ 深呼吸し、心を落ち着ける。
今度は掌の中で雷光を抑え込むように刀を構える。
すると一瞬だけ、刀身の光が穏やかに収束した。
「今の……!」
水京が声を上げる。
「分かったか、双雷」
宮司の声が鋭く響く。
「雷は心を映す鏡だ。お前が揺らげば、刀も揺らぐ」
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三日目の夜。
境内に立つ双雷の姿は以前とは違っていた。
雷牙を構え、深く息を吸う。
「俺は……もう迷わねぇ。
妬みも絶望も、全部切り裂くために……この刀を振るう‼」
振り抜かれた刃は稲妻となり、境内を照らした。
だが今度は石畳も柱も無事だった。
「……やったな」
鋼次が口の端を上げた。
水京も微笑む。
「これなら……化身に届く」
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双雷は刀を収め、夜空を見上げた。
稲妻が遠くで光る。
「待ってろよ……。今度こそ、斬り伏せてやる」
雷牙は静かに唸り、次なる決戦を予感させていた。




