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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生
23/33

第23章 雷牙、初陣



 その夜。

 神社の結界が淡く揺れた。


「……っ、来る!」

 水京が弓を構えると同時に、瘴気が境内に流れ込んでくる。


 鳥居の向こうから現れたのは、先日の眷属たちと同じ影――だが、数も質も段違いだった。

 十を超える瘴気の獣が這い出し、境内を黒く染め上げていく。


《妬ましい……! 選ばれた者など許さぬ……!》



「チッ……さっそくお出ましかよ!」

 双雷は腰の雷牙を引き抜いた。


 瞬間、刀身から雷光が迸り、夜空に稲妻が奔った。


「うおおおおっ‼」

 振り抜いた一閃は雷そのもの。

 迫り来る眷属の数体をまとめて斬り裂き、瘴気の霧へと変えた。


「……なにこれ……」

 水京が息を呑む。

「威力が……飛雷針どころじゃない……!」



 だが、残った眷属たちは怯まず迫る。

 四方八方から飛びかかり、牙と爪が双雷を狙う。


「おらぁ‼」

 双雷は雷牙を大きく振り回し、雷の奔流で薙ぎ払った。

 だが力が強すぎて、境内の石畳までも砕け飛ぶ。


「ちょっ……! 神社まで壊す気⁉」

「わ、わりぃ! まだ加減が……!」


 力の制御は難しい。

 だが斬撃の一つ一つが戦況を切り裂くほどの破壊力を持っていた。



 眷属の中から、一際巨大な個体が現れる。

 四つの眼を光らせ、牙を剥き出しにして咆哮した。


《お前の力も……妬ましい‼》


 巨体が突進する。

 双雷は刀を構え、息を呑んだ。


「行くぞ、雷牙……!」


 踏み込むと同時に、雷鳴が轟いた。

 雷光の刃が一直線に走り、巨体の眷属を真っ二つに切り裂く。


 爆ぜる瘴気。

 残った影たちも恐れをなしたように霧散していった。



「……はぁ……すげぇ……! これが雷牙の力……!」

 双雷は肩で息をしながら、刀を見つめる。


 水京は弓を降ろし、双雷を見つめた。

「本当に……化身に届くかもしれないわね」


 だが次の瞬間、神社の結界が軋む音が響いた。


 森の奥から、再び濃い瘴気が溢れ出していた。


《……面白い……その刀……妬ましい……》


 ――嫉妬の化身は、確かに双雷の“雷牙”を認識していた。

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