表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生
21/33

第21章 越えられぬ壁



 【飛雷針・極】。

 放たれた閃光の剣は、嫉妬の化身を真正面から抉り裂いた。


《ぐあああああああッ‼》


 化身の身体が大きく揺らぎ、瘴気が散り散りに飛び散る。

 双雷と水京は同時に息を呑んだ。


「……効いてる!」

「やった……本当に効いてる!」


 勝利を確信しかけた、その時――。



 化身の口々が、一斉に笑い声をあげた。


《ククク……面白い……人間風情が、ここまで我を傷つけるとは……》


 裂けた身体が、どろりとした瘴気で瞬時に再生していく。

 数えきれない口が新たに生え、そこから黒い雷が吐き出された。


「なっ……!」

 双雷が咄嗟にバリアを展開する。

 だが――


「ぐぁああああっ‼」

 黒雷は普通の瘴気とは違い、バリアごと貫通して双雷の体を焼いた。


「双雷‼」

 水京が炎の矢で牽制するが、化身は嘲笑うように矢を呑み込む。



《妬みは雷にも炎にも勝る……。

 お前たちが強くなればなるほど、その力を妬まれ、呑み込まれるのだ……》


 化身の声が頭に響き、双雷は思わず膝をついた。


「……くそ……せっかく制御できたのに……まだ、足りねぇのかよ……!」


 全身が焼け焦げ、腕は震え、呼吸は荒い。

 それでも双雷は立ち上がろうとする。



 その横で水京も必死に矢を放ち続ける。

「私たちが止まれば、この区の人たちは全員……!」


 だが矢はことごとく弾かれ、二人の攻撃は化身の瘴気の前にかき消されていった。


「畜生……! 全然効かねぇ……!」

「双雷……私たち、まだ……」


 二人の顔に焦りと悔しさが滲む。



《絶望しろ……妬め……その感情こそが我を肥やす……!》


 化身が両腕を広げ、森一帯を覆うほどの瘴気を解き放った。

 空気が黒く染まり、光すら届かない闇の領域。


 その圧倒的な力の差に、双雷は歯を食いしばった。


「……チッ……! 分かってる。まだ俺たちは届いてねぇ……!」


 瞳には絶望の影が差していたが、それ以上に強い炎が宿っていた。


「だったら……必ず届くまで鍛えてやる‼」



 森を揺るがす瘴気の奔流の中で、双雷と水京は歯を食いしばりながら耐えていた。

 だが心の奥には、確かに燃え続ける誓いがあった。


 ――まだ試練は終わらない。

 本当の戦いは、これからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ