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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生
20/33

第20章 雷を制する者



 轟音。

 雷光は制御を失い、周囲を無差別に焼き払っていた。


「ぐっ……はぁ、はぁ……!」

 双雷の体は裂けるような痛みに苛まれていた。

 それでも雷は止まらない。


《もっとだ……もっと力を……》

 心の奥底に囁く声。

 それは化身のものか、自分自身の欲望か、もう分からなかった。



 ――その時。


 脳裏に鮮やかに響いたのは、師匠・雷兆の声だった。


『力に飲まれるな、双雷。雷は刃であり、同時に毒でもある。

 制するのは雷じゃない。お前の“意思”だ』


 その言葉が胸を撃つ。

 忘れるはずがない。

 雷兆が最後に見せてくれた、あの揺るがぬ眼差し。



「……師匠……」


 双雷は苦悶の中で、必死に自分の拳を見つめた。

 稲妻が迸り、皮膚を裂き、血が滴る。


 だが――その拳は確かに自分のものだ。


「……そうだ……。雷は俺のものだ……!」



 強く握りしめた瞬間。


 暴走していた稲妻が、まるで従うように収束していった。

 荒れ狂っていた光が一本の刃のように形を変える。


「……おお……」

 水京が息を呑む。


 双雷の背から伸びる雷光は、もはや爆発ではない。

 鋭く、清冽で、研ぎ澄まされた“刃”だった。



「妬みの声なんざ……どうでもいい。

 俺は俺の意思で、この力を振るう‼」


 双雷の瞳が蒼白く輝く。

 雷兆の教えを胸に刻み、自らの力を制御した瞬間だった。



 化身が呻く。

《……馬鹿な……人の身で雷を……従えた……だと……?》


「黙れ‼ これは俺の雷だ‼」


 双雷は飛雷針を構え、全身の力をそこへ集中させた。


「――【飛雷針・きわみ】‼」


 放たれた稲妻は一本の閃光の剣となり、闇を切り裂いて化身の身体を抉った。


 森全体が閃光に包まれ、瘴気が一気に吹き飛ばされていく。



 膝をつきながらも、双雷は笑った。


「……師匠。ちゃんと、制御できたぜ」


 その姿に、水京は思わず見惚れた。

 暴走しかけた少年は、ついに“雷を制する者”へと成長していた。

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