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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生

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第20章 雷を制する者


⸻


 轟音。

 雷光は制御を失い、周囲を無差別に焼き払っていた。


「ぐっ……はぁ、はぁ……!」

 双雷の体は裂けるような痛みに苛まれていた。

 それでも雷は止まらない。


《もっとだ……もっと力を……》

 心の奥底に囁く声。

 それは化身のものか、自分自身の欲望か、もう分からなかった。


⸻


 ――その時。


 脳裏に鮮やかに響いたのは、師匠・雷兆の声だった。


『力に飲まれるな、双雷。雷は刃であり、同時に毒でもある。

 制するのは雷じゃない。お前の“意思”だ』


 その言葉が胸を撃つ。

 忘れるはずがない。

 雷兆が最後に見せてくれた、あの揺るがぬ眼差し。


⸻


「……師匠……」


 双雷は苦悶の中で、必死に自分の拳を見つめた。

 稲妻が迸り、皮膚を裂き、血が滴る。


 だが――その拳は確かに自分のものだ。


「……そうだ……。雷は俺のものだ……!」


⸻


 強く握りしめた瞬間。


 暴走していた稲妻が、まるで従うように収束していった。

 荒れ狂っていた光が一本の刃のように形を変える。


「……おお……」

 水京が息を呑む。


 双雷の背から伸びる雷光は、もはや爆発ではない。

 鋭く、清冽で、研ぎ澄まされた“刃”だった。


⸻


「妬みの声なんざ……どうでもいい。

 俺は俺の意思で、この力を振るう‼」


 双雷の瞳が蒼白く輝く。

 雷兆の教えを胸に刻み、自らの力を制御した瞬間だった。


⸻


 化身が呻く。

《……馬鹿な……人の身で雷を……従えた……だと……?》


「黙れ‼ これは俺の雷だ‼」


 双雷は飛雷針を構え、全身の力をそこへ集中させた。


「――【飛雷針・極(きわみ)】‼」


 放たれた稲妻は一本の閃光の剣となり、闇を切り裂いて化身の身体を抉った。


 森全体が閃光に包まれ、瘴気が一気に吹き飛ばされていく。


⸻


 膝をつきながらも、双雷は笑った。


「……師匠。ちゃんと、制御できたぜ」


 その姿に、水京は思わず見惚れた。

 暴走しかけた少年は、ついに“雷を制する者”へと成長していた。

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