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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生

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18/33

第18章 覚醒の兆し


⸻


 森を覆う瘴気は濃く、吐く息すら黒く染まるようだった。

 地に倒れた双雷は、全身の力が抜け落ちていくのを感じていた。


「……体が……動かねぇ……」

 震える腕を必死に持ち上げるが、化身の瘴気が絡みつき、重りのように押し潰す。


《抗っても無駄だ……妬ましい……お前の力も心も、全て奪ってやる……》


 脳裏に直接響く囁き。

 その言葉に、心臓が締め付けられるような痛みを覚えた。


⸻


「双雷‼ 立て‼」

 水京の叫びが届く。

 彼女も血を流しながら必死に弓を構えていた。


 だが、炎の矢はまたも瘴気に飲み込まれ、霧散する。


「くそっ……私じゃ……!」

 膝をつく水京。


 その姿を見て、双雷の胸に燃えるものがあった。


(……こんなところで……終わるわけにはいかねぇ……!)


⸻


 頭に浮かぶのは雷兆の顔だった。


『お前の器はもっと広がる。心が折れない限り、雷神は応える――』


 あの師匠の声が、胸の奥で鳴り響く。


「……あぁ……そうだよな」

 双雷は血を吐きながら、ゆっくりと立ち上がった。


 全身にまとわりつく瘴気が、稲妻の音と共に弾け飛ぶ。


「俺は……もう逃げねぇ……! 誰も失わねぇ‼」


⸻


 その瞬間――。


 背中から奔る雷光が夜空を裂いた。

 髪は銀に染まり、瞳は蒼白く輝く。

 稲妻を纏ったその姿は、まるで雷神そのものだった。


《なに……?》

 化身の無数の口が驚愕に震える。


「聞けよ、化け物……! 俺の名前は鳴神双雷!

 妬みも絶望も、全部まとめて叩き斬ってやる‼」


 拳を握るだけで、大気がビリビリと震えた。

 これまでとは次元の違う“力”が双雷の身体に宿り始めていた。


⸻


 水京は思わず呟いた。

「……これが……覚醒……」


 稲妻の光が闇を切り裂き、瘴気すら押し返していく。


《ありえぬ……人の身で……その器は……》

 化身が後退する。


「さぁ……ここからが本当の勝負だ‼」

 双雷の咆哮が夜の森に轟いた。

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