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異世界都市伝説大戦【改稿版】  作者: 知恵利一
第1部 死と生

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15/33

第15章 命を削る修行


⸻


 翌朝――。

 境内に朝日が差し込むと同時に、宮司・水京の号令が響いた。


「立て、双雷、水京! これから始まるのは、遊びではない。命を賭して挑む“修行”だ」


 双雷は大きな欠伸をしながら立ち上がる。

「ったく……寝起き一発目からこれかよ」


「文句言ってる暇があったら走れ‼」

 容赦なく投げつけられた御幣(ごへい)が双雷の頭にクリーンヒットする。


「いってぇーー!」

 隣で水京がくすりと笑った。

「ほら、アンタ。師匠の修行は甘くないって言ったでしょ」


⸻


 修行は苛烈だった。


 朝は神社の石段を百往復。

 昼は滝に打たれながら神力を維持する瞑想。

 夜は瘴気に満ちた森に入っての実戦訓練。


「ぐっ……はぁ、はぁ……足が動かねぇ……」

 膝をつきそうになる双雷を、宮司の冷たい声が叩きつける。


「立て‼ その程度で潰れるなら、化身の瘴気に触れた瞬間に死ぬぞ!」


 水京もまた限界まで弓を引き続けていた。

 指先の皮は裂け、血が滴っている。

「うっ……くぅ……!」


「炎の矢を保て、水京! 痛みに耐えられぬ者が、この区を守れるか‼」


 二人の悲鳴が境内に響き渡った。

 だが、不思議と心は折れなかった。


⸻


 三日目。

 夜の境内で双雷と水京は倒れ込むようにして息をついていた。


「……死ぬかと思った……」

「同じく……」

 力なく笑い合う二人。


 その様子を見ていた水神宮司は、厳しい顔を少しだけ和らげた。


「よく耐えたな。お前たち、少しは“器”が広がった」


「器?」

 双雷が顔を上げる。


「神の力は器に注がれる水のようなもの。器が小さければ溢れて身を滅ぼす。だが――鍛えれば広がる」


「……ってことは、俺たちの体は……」

「以前より多くの神力を宿せるはずだ」


⸻


 宮司は二人に神具を差し出した。


「双雷、お前には雷神の力をさらに引き出す【雷の護符】を。

 水京、お前には炎を増幅させる【火浄の腕輪】を与える」


 双雷は護符を握りしめた瞬間、体内の雷が奔り出すのを感じた。

「おおっ……! 力がスムーズに巡ってる!」


 水京もまた腕輪をはめ、炎の矢を試す。

 放たれた矢は以前の数倍の輝きを放ち、夜空を照らした。


「……すごい……」


⸻


 その光景を見届け、水神宮司は言った。


「次に来るのは試練ではなく――戦いだ。嫉妬の化身との」


 双雷と水京は互いに目を合わせ、力強く頷いた。

 恐怖はあった。

 だが今は、それ以上に燃えるものがあった。


「必ず倒す。俺たちで――!」

「この嫉妬区を守るために!」


 境内に雷光と炎が交差し、新たな誓いが刻まれた。

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