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「…決めたぜ」
暫くの沈黙の後、何を考えているのだろうか…
いきなり、目の前のジョシュアが真っ直ぐな瞳でそう言い、わたしへと距離を詰めるように近付いてくる。
(な…何を決めたっていうのよ…)
ジリジリと詰め寄ってくる相手に、後ろへ下がりたいのにシャインに抱き締められているため、後ろへは逃げられない。
逃げたいという気持ちを感じ取ったのか、シャインが抱き締める腕を強めた。
「…ジョシュア、いい加減にしなよ。
ジェシカが君を怖がってる…第一、人間が嫌いなんだからわざわざ近付いて来なくてもいいでしょ」
シャインの言葉に思わず首を縦に振ってしまう。
確かにあれだけ人間が嫌いだと言っておきながら何故わたしに近付いて来るのかが分からない。
「…あぁん?俺の何が怖ぇんだよ」
腕を組み仁王立ちで目の前に立ちはだかる姿は、見上げる首がもげるほどの大男だった。
(近付いてくるまで分からなかっけど、この人…大きすぎる…)
あまりの威圧感に気唾を飲む。
わたしの身長が120センチくらいだから、身長差は
何センチだろう……
目の前にジョシュアの膝があるということは…差は150センチ以上と言ったところだろうか。
見上げても目の前の相手が近過ぎて顔までは窺えない。
「はぁ…そういうとこだよ…
ただでさえ巨人族の末裔で無駄に巨躯なのに、そんな威圧的な態度だと余計に怖く感じるだろうね」
「…きょ、巨人族?」
耳を疑うような言葉に、驚き思わず振り返るとシャインを見る。
巨人族は、山ほど大きな人族のような見た目の精霊のはずだ。
立ちはだかる山を崩し、川を作り出したと言われている巨人族…
ゲームでは言葉での説明しかされていなかった為、想像ではもっと厳ついのをイメージしていたわたしからすると、そんな足りない言葉では言い表せないほど圧倒的な威圧感だ。
だが一つ疑問がある。
「…なぜ、翼が生えているのかしら」
巨人族の末裔ということは納得ができた。
(でかいし…)
圧倒するような巨漢、思わず息を飲む逞しい筋肉…
ただ、その背中から生えているの立派な鷲のような翼は、巨人に元から生えているものだっただろうかと頭を巡らせる。
すると頭上で思わずクスリと笑う声が聴こえてきた。
「ふふっ…翼には変わりないんだけど、彼はそれで飛ぶわけではないから、腕と同じような、…かと言ってそうでもない…
まぁ飾りみたいなものだよ」
ざっくりと言うシャインに、違うのでは…と思うと、目の前のジョシュアも困惑したように口を開く。
「飾りではないんだがな…
まぁかと言って、言われたようにこいつで飛べるわけでもねぇ…縮まればよく分かるぜ、翼じゃねーってことがよ」
そう言うとジョシュアは蒼い光を放ち、みるみると縮んでいく。
すると翼は腕と同化し始め、腕からまるで羽が生えているかのように変化した。
体格は変わらないが、シャインと同じくらいの少年へと姿を変える。
「…こいつは腕の一部だからな、本来の姿は巨躯だが…普段はこの仮の姿さ
人間のお前をビビらせてやろうと思ったんだが…」
変化した腕を見ながらそう伝えると、いつの間にか目の前まで来ていた事に気づかなかった。
「……!!」
驚くのも束の間、目の前のジョシュアは片膝をつき、わたしに頭を下げる。
「…さっきは、悪かったな」
「………え?」
あまりの急な出来事に素っ頓狂な声が出てしまった。
すると何故かシャインが抱き締めていた腕を解き、わたしの目の前に立つ。
「…決めたって、そういうことだったんだね」
何故か怒っているような声色で言うシャインは、ジョシュアを見つめている。
ジョシュアも何かを伝えるようにシャインを見つめていた。




