↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

第9話


 がらがらーっ。


「ただーいまー」


「おかえりなさーい」


 奥からクレールさんの声。

 次いで、ぺちゃくちゃ喋るクレールさんとマツさんの声。

 さー、とリビングの襖を開けると、2人は楽しそうにお喋り中。

 マツさんがにこやかな顔を上げました。


「あ、テルクニ、聞いて下さい。カオルさんのお仕事」


「そこまで」


「何?」


「母さん、情報省の仕事なんて、聞きたくない」


「でも、話してくれましたよ」


「母さん達に聞かれたら、答えないといけないから、話したんじゃない? あまり外で話さないでね。と言うか、聞いたらいけない事の方が多いよ。りっちーとかユキにうっかり話しちゃダメだよ」


「う、ううん……」

「んー……」


「細かい所は話さなくていいから、何聞いた?」


「あの宗教団体」

「はーいストップ! もう聞きたくない。他の人には絶対に話さないでね」


 宗教団体絡みで情報省の出番とか、あまり聞かない方が良いですよね。


「母さん達は、桃ウォーターで良いよね……」


 かちゃかちゃ。

 コップを出して、ジュースを入れて。

 コンビニで1リットル銅貨10枚ぴったりの物ですけど、ハズレなしです。

 果汁1%!? 薄っ! と思うけど、美味しいですよ。しかもノンカロリー。


 とん、とん。


「ありがとう」

「ありがとうございます」


「じゃあ、カオルさんにもジュースあげてくる」


「はーい」



----------



「カオルさん、スキル構成良くない」


「そうですか?」


「戦士系ヒーラーだったら……」


 かちかち。


「あるじゃん。飛翔天斬の空中コンボは必須だって」


「これはコンボのタイミングがいまいち分かりづらくて」


「指が覚えるって。ガーキャンでぶっぱしてからの……」


「ヒール系はこれ?」


「状態回復は必須でしょ。全体回復とー……戦士スキルで枠埋まっちゃうし、単体はなしでいいんじゃないかな」


「装備はこれで良いでしょうか」


 かちかち。


「うーん、出血付いてるから悪くはないけど……電気系は必須」


「電気? ダメ安定しないですけど」


「ダメより麻痺が強いから。連撃系でスタック貯まるから、相性良いんだよね。麻痺中に回復とかフルボッコとか」


「ああ! なるほど!」


「連撃系スキルと電気は戦士系に必須だよ。ボスは耐性持ってるのが多いけど、ザコ狩り凄い楽になるよ。出血はボス系相手にって感じだから、ヒーラーでサポートやるにはそんなに要らないかなー。野良ボスには100%誰か居るし、8割ヒーラーに徹するくらいで」


「ふむふむ」


「秒で解除する奴もいるけど、その秒が大事なんだなー。戦士系やるカオルさんには分かるよね」


「分かります」


 テルクニ君のネトゲ講座です。


「装備これ一式で集めたいタイプ?」


「はい。これのセットボーナスが良いと」


「戦士系ヒーラーなら鉄板だね。この装備で固めるんだったらー……んー、うーん……」


 頭から足まで、防具をひとつひとつ細かい数値までチェック!


「……」


「んー! イマイチかなー。サポは出来るけど、戦士役としてはちょい脆い。防御力+のボーナスに目が行っちゃうって、初心者あるある。このレベル帯まで来たら、物理より状態異常耐性と属性耐性が大事。今日、掘る? ボーナスチケ、まだ余ってるから」


「良いのですか」


「良いよ。僕も素材欲しいし、良いの引いたらあげるよ」


「ありがとうございます!」


「あとねー、珠が良くないね。これ変えると、がつんと火力上がる」


「中々良くないですか?」


「弱点特効と会心率着けないと。どうせ複数属性付けるんだから、それで大体は弱点突けるでしょ」


「あっ! そうですね!」


「ティア6はドロ率0.3%だから、周回頑張るしかないね。ドロ率2倍イベでも0.6%だもんねー。まーティア5で妥協しても良いかな」


「では、武器は」


「単純な物理攻撃は、槍ならURロンギヌスだけど、1個下のSSRグングニル。元から水属性付いてるから、あと他の属性付いてるの狙う。で、弱点特効珠が発動。ね? 火力、ロンギヌス超えるから」


「なるほど!」


「槍使いにロンギヌス少ないでしょ? こーいう事よね」


「はあー! そうだったのですか! 単純に出ないだけかと……」


「そうじゃないんだよねー。雷は必須として、次点で火は欲しいよね。ザコは火に弱いの多いし。これで水、雷、火で3属性じゃん。贅沢言えば、闇欲しいね。闇あれば出血はいらないかな。火で炎上つけれるし。火、ボスにはあんま効かないけど」


「闇ですか?」


 テルクニ君、ドヤ顔でにやにやしてますよ。


「ははーん。やっぱ闇ってそうなるよねー。ボス系、意外と闇効くの多いよ。神様ばっかじゃん。耐性持ちばっかじゃねえかよ! って思いがちだけど、あれ? 闇が刺さるの? みたいな」


「そうだったんですか!?」


「意外と攻略サイトに載ってないんだよね、これ。光も着けば最高だけど、まーそこまで贅沢言ってたら、いつまで経っても出ないから。雷属性と火属性狙って掘ろう。スロット数増やせるアイテムある?」


「あります!」


「完璧! 掘り周回だね!」



----------



 その頃、冒険者ギルド社長室では―――


「ワッツザファック! タナカ君、このニュースはウォッチしましたか?」


 タナカ君は副社長です。

 この方言ばりばりの人は、冒険者ギルドの社長、オオタケさんです。


「何の記事でしょう」


「ミスタートミヤスが、ダンジョンをビギンするみたいですよ!」


「おや? トミヤスさんがですか?」


「んー、これはメイビービッグチャンス!」


 オオタケ社長は米衆連合の田舎生まれで、方言が凄いです。

 タナカ副社長はこっちの都会生まれなので、たまに聞き取れない事があります。


「なるほど。何人か送ってみるのも、良い経験になりますか」


「バット、こっちのニュース。ボス部屋オンリーダンジョンみたいですね」


「ふむ……」


「まず、雑用人員がネセサリーか、アスクしてみましょうか? メニーのお客さんが来ます」


「何故です?」


「このニュース、トゥデイのナイトにはトゥーメニーアクセスになるでしょう。ももちゃんのZがソースなんですね……ドゥーユーノウももちゃん?」


「勿論」


「メイビー、こっちのニュースは、ミスタートミヤスのフレンドの、ヤンキーモンキーでしょう」


「ほう」


「もうリプがメニーついてますね。アクセスランキングに載ること間違いなし。アーリーなアクセスが良いでしょう。すぐテレフォン。ミスタータナカ、人員の候補を見積もって下さい。受付、医者、掃除……掃除はメイビーきついかもしれないですけど。デッドマンも出ると思いますからね」


「死人ですか?」


「ミスタータナカ、ドントノウ? ミスタートミヤスは、傭兵の間では首斬りサムライとコールされてるんですよ。傭兵時代、紛争地域でダイヤ鉱山にいたんです。何人キルしたかは、私もアイドンノウ。知りたくないですが」


「なんと!?」


 面白い話し方をしますが、オオタケさんは頭も切れて、情報網も広いです。


「おっと、傭兵の話はシークレット。メニーの兵士を斬り殺してます。ミスタートミヤスは、これ隠してますから、検索しても出てきません。情報統制されていますね。ま、ミーには隠し通せませんけど」


 と言うか、テルクニ君に頼まれて、冒険者さん達に口止めをしたのは、このオオタケ社長です。知ってて当たり前です。


「そうだったのですか……」


「サプライズしてる暇はナッシングですよ。人員の候補、頼みます。ビギニングはサラリーが出ないかもしれないですが、バット、ボランティア募集でオーケーです。ミスタートミヤスのヘルプなら、メニーの希望が出ます」


 タナカ副社長が頷いて、社長部屋を出ていきました。

 オオタケ社長がにこにこ笑いながら、電話を取ります。


 かちゃ。

 ぴぴぴ……電話帳を見て……

 ぷるるるる。ぷるるるる。ぷるるるる。ぷるるるる。ぷる。


『トミヤスでーす』


「ハローオーウ、ミスタートミヤス。オオタケスピーキン」


『はい。何でしょう? 何かトラブル……あ、もしかしてダンジョンすか?』


「イーエース! うちから冒険者を送りましょうか?」


『いや、今の所は……何と言うか、受付の人と医者だけで良いかなって』


「しばらくボランティアでもオーケー! 少しシンクしてみて下さい! 雑用はネセサリーじゃないですか?」


『んー、受付や医者はもう決まってるんですが』


「ダンジョンルームの掃除は絶対ネセサリー! 流血もありますからね。集客、お客さんの案内、アザーもメニー」


『うーん、確かに! いや、そうですね』


「ナウ、ボスルームオンリーみたいですけど、アザーのルームの工事のヘルプも送りますよ! スポンサーもシンクしてます」


『む! スポンサーですか!』


 資金の尽きかけている今、スポンサーの話はありがたいですね。


「リプライはナウではなくてもオーケーです。そのつもりはあるので、いつでもコールして下さい」


『ありがとうございます。少しメンバーと相談してみます。すぐ折り返します』


「イエス! ウェイトしてますよ! バイ!」


 ぷつ。つー。つー。

 ぴ。


「カオルさんに相談してみるか……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。