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第39話


 無事、初コラボ撮影も終わりました。


 ドッキリに掛けられたフギ先生の機嫌を取る為、夕食は回らない寿司です。


「ユキ、お前は程々にしてくれよ。寿司ネタが無くなっちまうよ」


「うーん」


 レイシクランの血を引くユキちゃんは、やっぱり凄く食べまくります。


「じゃあ先生」


 とくとくとく……


「はい、ありがとう。ん、大将、大トロ5、シンコ5」


 ぶーっ!

 超高いネタきた!

 この季節のシンコは初物では!?


「へい! 気合入れて握りやすぜ!」


「私はー、んー……ウニとイクラとハマチとブリと鯛」


「へい! ウニ、イクラ、ハマチ、ブリ、鯛!」


「ユキ! お前頼むよ!?」


 金ピンチ! どうするテルクニ!


「んんー? トミヤス先生は食べないの? 美味しいよ」


「……海老とかっぱ……」



----------



 カオルさんの愚痴タイム。


「大体、宗家は放っておけば1日中ゲームばかりしておるのです」


「そうなの? 噂は聞いてたけど、本当だったの?」


「カオルさんもね。フギ先生、僕はまだマシです。無料でやってるから。カオルさん、給料ほとんどゲームに突っ込んだ上で、1日中やってますから」


「ええ!? サダマキさん、それはどうなの?」


「金貨が1枚、金貨が2枚……カオルさん、先月はゲームで何枚減ったの?」


「……さあ。覚えておりません」


「月間パスは買ってるよねえ? シーズンパス買ってるよねえ? 倉庫枠もMAXまで開けたでしょ? プレパケ買ったでしょ? これだけでもう金貨1枚軽く超えてるじゃん。先月有償ダイヤどんだけ買ったのよ。月に金貨2枚は飛んでない?」


「……さあ。覚えておりません」


「サダマキさん、それはちょっとどうかと思うよ」


「ですよね! フギ先生からも一言お願いしますよ。根性あれば無課金でも……」


 愚痴は逆にツッコミされて終わりました。



----------



「最近、面白い新人が入ったんですよ」


 アダムさんです。


「どんな?」


「これナイショですよ。白露の現役特殊部隊員」


 かん!(お猪口を置く音)


「もしかしてあれ!? 動画のインタビューの人!?」


「そ! あれ、元じゃなくて、現役なんです。本当に秘密にして下さいよ」


「うわあー……大丈夫なの? それ? 何か問題になったりしないの?」


「流石に所属がバレるとまずいですけど、別に現役の軍人だって問題はないですよ」


「まあ、それはそうだけど……でも、1回1回、飛行機で来るわけ?」


「まさか。女王様から命令されて、こっちに滞在してるんです。潜入とかスパイ活動じゃないですよ」


「なんで? トミヤス流にびっくりしちゃったとか?」


「みたいですね。うち、たまに白露の女王が遊びに来るんです」


「は!?」


「トミヤス家って、白露のエイパッチェフ王家とは、個人的に仲良いんです。ほら、あれですよ。日白戦争の時の白露の王女様。後で女王になった」


 ぱん!(手を叩く音)


「あれだ! マサヒデ先生達が暗殺者から助けた人だ!」


「そう。母さん達が、その人の代から仲良いんですよ。ずーっと続いてます。母さん達も、夏場はよく向こうに遊びに行きますから」


「へえー!」


「で、女王様がこっちに遊びに来るとなると、やっぱり護衛がいるじゃないですか」


「その1人?」


「そうなんですよ。僕が見た所、中々の剣の才があると思います。少し使えるようになったら、また連れてきますよ。向こうの武術も結構面白いですから」


「良いねえ! 白露だと、サーベルとか鞭ってイメージあるなあ。鞭はよく知らないから、教えてくれるかなあ」


「配信に出しても良いですけど、上げる前に編集した動画のデータ、送ってもらえますか。一応、向こうの軍にチェックしてもらわないと、後で問題になると厄介なんで」


「なんか怖いねえ」


「現役ってなりますとね。元なら結構大丈夫な所もあります」


「リチャードさんとか? 動画見たけど、Pが凄い入ってたけど」


「流石に作戦に関する所を喋りすぎですよ、あれ……まあ、あれはあれで、何か興味引かれる! って感じがあるから良いですけど。そうだ先生」


 こそこそ。


「あいつの名前、検索すると、魔王軍特戦隊って出てきますけど」


「ん? うんうん。らしいね」


「これ、本人も知らないんですけど。あれ、わざとお祖父ちゃん(魔王)が漏らしてるんです。名前と、特戦隊に所属してましたって所の情報だけ」


 衝撃の真実!

 実は逆に情報を流していた!


「は!? なんで!?」


「トミヤス流の宣伝の為にって! あはははは!」


「あははは! そうだったの!? 宣伝だったんだ!」


「そうですよ! 特戦隊の元隊員なんて情報、絶対に漏れやしません! 検索して出てくる奴、トミヤス流かトミヤス流の夢想派やってた奴なんです」


「ははははは! そうだったんだ! あはははは!」


「ね!? 世界最強の特戦隊はトミヤス流が多いぞ! 良い宣伝でしょ!?」


「上手いことやるねえ!」


 りっちー君が検索して出てくるのは、こういう理由だったんですね。



----------



 そして宴も酣(たけなわ)ではございますが……


「1、2、3、4、5、6……10、11、12……」


 しくしくしく。

 金貨が飛んで行く。


「お兄ちゃん、大丈夫ー?」


 ぐるん!


「大丈夫じゃねえよ! お前が食いまくるからだよ! 一体何人分食ったんだ!? 普通1人で金貨1枚かもうちょいくらいで収まるだろ!? お前だけファミレスに行かせりゃ良かったよ! ええと……大将、今何時?」


「お客さん、今時そりゃないでしょうよ」


「だよね。言ってみたかっただけ。今日、マジで車中泊しようかな……」


「ちょっとお兄ちゃん! 車中泊はやめようよー! お酒呑んだし、お風呂入らないと顔ぎっとぎとになっちゃうよ!」


「銭湯行きゃ良いだろ。15、16、17……」


「へい毎度!」


「車中泊はやーだー!」


「うるせえ! お前のせいだぞ! 車中泊が嫌なら食った分の金下ろしてこい! お前1人で10人前以上食ってんだぞ!? フードファイターかよ!?」


「けち」


「俺の経済事情知っといて、よく言えるな!? もう決めた。明日っからお前、食費は自分で払え。それと車中泊が嫌なら金下ろしてこい」


「分かった……」


 からからから……


「あの嬢ちゃん、えれえ食いっぷりでしたな……」


「驚きますよね。レイシクランの混血なんです」


「あっちゃあ! そりゃ食いますわなあ……てえへんなこった。こっちとしちゃ、ありがてえ限りですがね」


「ふう……ご馳走様でした。美味しかったです」


「ありゃーとざいやしたーっ!」


 こうして、ウキョウ旅行1日目は終わったのでした。


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