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第29話


 その夜——


 カオルさんが最高の笑顔!

 渾身の編集! 見直しもバッチリです!

 後半はノーカット版も上げておきましょう!


 Z(SNS)用の写真もバッチリです。


 『トミヤス道場に不審者が来ました! でもテルクニ先生が助けてくれた!』

 『トミヤス流にケンカ売っただけなら許す! 女の子に手を上げたのは許さん!』

 (顔の怪我の写真。勿論変装)

 『不審者3人にお前らは真剣で掛かってこい! 俺は素手だ! 惚れそう♡』

 『これが不審者3人だー! 17:40くらいから(動画リンク)』

 『編集してないのあるよ! 信じられない人は合成チェックどうぞ(動画リンク)』


(よしっ!)


 これはトミヤス道場の宣伝にもなる! 完璧!

 しばらくあの小うるさい国も静かにしてくれると良いのですが。

 普通に訓練させてって来れば良いだけなのに、独占欲の強い国です。


 さて、動画の方は……


(よしっ!)


 上げてからこの時間で再生数が万超え! これは伸びる!

 コメントは!


 ⇐前スレ このコメントは最新の2スレ目です。


 472:名無しの桃:まじかこいつら

 473:名無しの桃:テルクニ先生、男気あるな

 474:名無しの桃:トミヤス流にケンカ売っても許す。でも女に手を上げたら許さないとか、格好良すぎ

 475:名無しの桃:どこに雇われたとか超気になる

 476:名無しの桃:いや、あそこかあそこじゃないだろうか

 477:名無しの桃:→476:どこかどこなの!?

 478:名無しの桃:あの国の軍諜報部が情報省じゃなかろか

 479:名無しの桃:世界の中心キター!? なの?

 480:名無しの桃:478です。情報『局』でした

 481:名無しの桃:トミヤス流習おうかな

 482:名無しの桃:素振り棒2000回は結構きついぜー

 483:名無しの桃:護身術コースでも……テルクニ先生好き。掘られても良い

 484:名無しの桃:あれ2000回って出来るもんなん?

 485:名無しの桃:あれ2000回って出来るもんなん?

 486:名無しの桃:484です。連投すみません

 487:名無しの桃:出来る。仮名Aさんが言ってたみたいに、身体の動かし方が分かると出来る。筋肉だと人族じゃあめっちゃ鍛えてないと無理。分かると4000回の人みたいに小さい人でも出来る

 488:名無しの桃:487、kwsk教えてplz


(よしっ!)


 コメントも伸びてます!


 ぷるるる……ぷるるる……


「む」


 これはももちゃん用スマホです。

 この番号は……にやり。

 大中心国エージェント、ジュンユー=シャオ。


 ぷるるる……ぷるるる……

 この電話は 留守番電話サービスに 転送されます


『すぐに動画とZの画像を消し、ヤラセだったと言え。痛い目を見るぞ。素人が一国を相手に出来ると思うな』


 読み上げの音声です。

 ぷつっ。ぷー……


「くくく……日輪国情報省を舐めるなよ」


 『脅迫電話キター! 助けてポリスメン!』

 『一応通報。一国とかウケるw 内容はコチラ(音声リンク)』


「ははは!」


 ぷるるる……ぷるるる……

 この電話は 留守番電話サービスに 転送されます


『猶予は1時間だ』


 読み上げの音声です。

 ぷつっ。ぷー……


「無駄なあがきを……さて、サムキン、サムキン……む?」


 ファイアウォールがめちゃ反応しています。

 これは市販されていない情報省特製のファイアウォールです。


「ふっ。まあまあ早いじゃあないか。ぎりぎり合格……ではないな。愚かな……単純なDDoSで崩せると思っているのか? 合格は取り消しっと……」


 右クリ、メニュー、クリック。対DDoS。OK。

 これで意味のないダミーIPのダミーPCをひたすらDDoSしまくります。

 してやったりと思ったら、ダミーでした! 合格は取り消しです!


 今日は良い仕事をしましたね!

 さあ、装備掘り周回を開始しましょう!



----------



 翌朝。

 道場が開く30分前です。


 きこきこきこ……

 アダムさんは自転車です。

 車もありますが、トミヤス道場の駐車場は広くはないですし、車を使うほどの距離でもありません(現役特殊部隊員のアダムさんにとっては)。


(むっ!)


 きらん! アダムさんの目が光ります。

 あれは諜報員……


 いやバレバレ過ぎです!

 こんなド田舎の何もない道路にセダンを路駐した、スーツ+サングラスの人!

 そう! こういう田舎って、温かい時期は諜報員には困るんです。


 目立たないようにTシャツ姿?

 拳銃は何処に隠すんだ?

 Tシャツの下? 新人警官にもバレちまう。

 もし何処かの諜報員が近くに居たら?

 急に襲われたらどうするんだ?

 不安だ。結局、超目立つスーツ姿で見張るしかない。


 結果! 目立つ!


 同じ理由で、若者一杯のバー、ビーチ、プールなんかも苦手です。超目立つ。

 ビーチやプールなら双眼鏡で? 通報されます。

 君、身分証は? 何、諜報員? 公安と情報省呼べ! 大変な事に……

 歩いてれば通勤途中で誤魔化せますが、立ち止まって監視しているなんて、自分で自分がアホらしく見えてくるのが、諜報員の悲しい所。


 きー……


「おはようございます」


「ああ。おはよう」


「トミヤス道場に何か御用ですか? 私、門弟ですが」


「いや。迷っているんだ。入門しようかどうか」


「そうですか。体験入門もありますが如何です。そうそう。昨日は体験入門で事故があったとか」


 バレバレー!

 アダムさん、嫌味ですよ。

 諜報員さんの渋い顔ったらないです!


「ちっ! ああもう、分かってるなら放っておいてくれ! 俺だって好きでこんな超目立つ格好で立ってるわけじゃないんだ……仕事なんだよ。なあ、分かるだろ? 別に何か仕掛けようってんじゃないんだ。見張ってろって言われただけなんだ」


「ふふふ。誰を見張るんだ? 居たら俺が呼ぼう」


「はあ……言えるわけないだろ……」


「まあそうだろうな。ああ、これで解決する。全員呼ぼう」


「冗談でもやめてくれよ! もう放っておいてくれ!」


「分かった。だが、最後にひとつだけ。お前の監視、とっくにバレているぞ」


「……」


「トミヤス道場には狼族の元特戦隊が居るんだ。まともに監視なんか出来るわけないだろ? この会話だって聞かれてるぞ。トミヤス先生の過去も聞いてるだろ? 10km先からでも敵の気配を感じられる人なんだ。アホな上司に電話して、ちょっと監視の仕方を変えようって相談しろ。あの敷地内の設備や建物は盗聴も無理だ」


「……」


「衛星からの監視までにしておけよ。町中ならともかく、こんな何も無い田舎道で、直に見て監視とかありえないぞ。御母上2人やユキさんに見つかったらどうするんだ。一瞬で車ごと灰にされちまって、証拠も残らないぞ。さあ、悪い事は言わないから、早いうちにここを離れて、何処かの駐車場に入れ。もうすぐユキさんの出勤時間だ。目に止まったら終わりだ。下手すると国に直談判されるぞ」


「はあっ……忠告感謝するよ……」


 がちゃ。ばたん。

 きゅきゅきゅ、ぶうん……ぶーん……


「やれやれ……諜報員も大変だな……門弟として潜入した方が早いだろうに」


 いやいや、昨日の今日でそれはキツイですよ、アダムさん。


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