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先輩は僕の家で酒を飲む

僕の家で飲み会が始まって約1時間ほどが経った。


「先輩全然飲んでないじゃないですか」

「いや、飲んでるって」

「だってこれだけじゃないですか」


先輩の目の前に置いてあるウイスキーは1cmほどしか減っていない。


「お前ロックのウイスキーをどんなスピードで飲ませようとしてるんだよ」

「10分に一杯飲むぐらいかと」

「死ぬって」


あまりお酒を飲まないからよく分からない。


「一口飲んでみろよ」

「え~」

「いいから。飲んだらどのぐらい強いか分かるから」


しょうがないので先輩のグラスをもらう。

そして一口飲んでみる。


「うわぁ…アルコール強すぎる…これロックは馬鹿の所業ですね」

「それで飲ませてるのはお前なんだけどな」

「しょうがないのでロックじゃなくていいですよ」

「しょうがないってなんだよ。これはこれで上手くはあるんだけどな」


僕は先輩にグラスを返す。

そして、先輩は一口飲んで。


「おいしい」


と言っていた。

僕にとってはアルコールが強いお酒でしかない。


「私も一口飲みたい」

「いいよ」


先輩は総務課長にもグラスを渡した。

その総務課長も一口飲んで


「確かに強いけどおいしいわね」


と言っていた。

もしかしたら僕の味覚が子どもなのかもしれない。

ただ、お酒の強さは個人差があるので無理をしないように。


「こればかりは好き嫌いがあるからな」

「僕はちょっとロックはきついですね」


基本お酒をロックで飲める人は、お酒に強い人なのだろう。

僕の体には合わない。


「そういえば二人とも最近仕事はどうなかしら?」

「俺ら?普通だぞ」

「仕事は!ですね」

「なんでそこ強調した」


仕事は普通である。なんなら僕も先輩も毎日よくやっていると思う。

ただ、先輩の仕事以外の部分が終わっている。


「だって先輩、仕事以外ひどいですよ?」

「なんだその言い方」

「だって金銭関係で係長からどれだけ怒られました?」

「あなた他人にも借りてたの?私に言ってくれれば」

「ちょっと課長は黙っていてください」


総務課長がまたお金をすぐ貸そうとしたのでさすがに止めた。

ほんと良くない癖なのでやめてほしい。


「先輩はとりあえずお金の管理をしっかりとして」

「一応やってるつもりなんだけど」

「じゃあ賭博やめましょう」

「俺の生きがいを!?」


他の生きがいを探してほしいと思う。

あんまりギャンブルを娯楽にしないでほしい。


「あなたたち、やっぱ仲良いわね」


そこからそんなやり取りを2時間ぐらいしていた。


「だからぁ~俺はぁ~賭博したいのぉ~」

「酒に酔ってても欲には忠実ですね」


さすがに3時間飲み続けていたら完全に酔いまくっている。

僕と総務課長に関しては、そんなに飲んではないので意識ははっきりしている。


「先輩寝ましょう?床で寝るなら許してあげますよ」

「そこはベットって言わないのね」

「絶対に嫌だ」


酔っぱらいを自分のベットに寝転がせたくない。

かといって来客用の布団もないので床しかない。


「ソファは?」

「絶対に嫌だ」

「厳しいわね」


ソファも汚れたらめんどくさいからいやだ。


「俺は……ぐぅ……」

「あ、机で寝た」

「これならこれでいいや」


うちの寝具やソファ以外なら特にどこでもよかった。


「じゃあ先輩潰れちゃったんで片付けましょうか」

「そうね」


この会の主催者である先輩が潰れたので、必然とこの会は終了となった。

机のものを色々片付ける。

食器を総務課長と僕で洗っている最中。


「あなたはあの先輩に対してほんとはどう思ってるの?」

「どういうことですか?」

「色々言っているけど、実際の所の気持ちはどんなかな~って」


僕の心の奥にある本音を知りたいようだ。

今まで言ったことも本音ではあるのだが。


「う~ん。本当に仕事は頼りになりますが、プライベートがひどいですよね」

「やっぱそうなるのね」

「そうですね。まぁ色々言ってはいますが、ちゃんと先輩として尊敬はしていますよ」

「それはどんな意味で?」

「あれは入社してすぐでですね」


僕は新入社員の時の話を総務課長にした。

僕がなぜこのだらしない先輩に付いていっているのかを。

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