表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
94/102

第91.6話:閑話・揺り籠の星の守護者たち――英雄不在のユートピア

### 第91.6話:閑話・揺り籠の星の守護者たち――英雄不在のユートピア

リオンたちが『星海巡洋機甲アストラル・クルーザー・マキナ』に乗り込み、深淵の特異点へと旅立ってから、彼らの母星であるエゼルガルド大陸には、かつてないほどの平穏と、熱気溢れる「留守番」の日々が続いていた。

主役たちが銀河を救っている間、この星がどうなっているのか。それは、過保護神アルトワールの「偏愛」と、残された者たちの「執念」が織りなす、もう一つの壮大な物語であった。

#### 1. 神の加護:物理法則が「過保護」に書き換えられた大地

現在のエゼルガルド大陸は、宇宙から見れば黄金のオーラに包まれた「聖域」と化している。

『リオンが帰ってきた時、道端に石ころが転がっていて転んだらどうするのだ!?』というアルトワール神の強迫観念に近い加護により、**【|神域の自動平坦化・絶対清潔環境パーフェクト・ルンバ・ワールド】**が発動。大陸中の街道はどれだけ馬車が走っても轍一つ付かず、雑草すら「観賞用に美しい配置」でしか生えてこない。

* **気候:** 常に摂氏24度、湿度50%に固定。雨は夜中の寝静まった時間に「最高級のアロマ」を含んだ霧雨として降り注ぐ。

* **農業:** 箱庭の技術が逆輸入され、農作物は植えた翌日に「調理済みの味」がするほど熟した状態で収穫可能。

この「至れり尽くせり」な環境に、当初は戸惑っていた民たちも、今では「神様がこれだけやってくれてるんだ、俺たちもリオン様に恥じない国を作らなきゃな!」と、逆にモチベーションを爆上がりさせていた。

#### 2. 政治の最前線:元・辺境伯と大公派閥の「推し活」外交

かつては国を二分して争っていた**辺境伯バルトロメウス(ルミナスの父)**と、**大公派閥(旧勢力)**。今、彼らは手を取り合い、一睡もせずに円卓を囲んでいた。……ただし、その議題は「平和維持」ではなく、**「どうすれば遠い宇宙のリオンたちをより快適にサポートできるか」**である。

「バルトロメウス殿、我が派閥の魔導師団が、ついに『リオン様専用・超遠距離精神安定(癒やし)通信』の開発に成功したぞ!」

「ふん、遅いな大公。私の方は、娘のルミナスが愛用している『最高級紅茶の新作』を、時空を超えて転送する準備を終えた。リオン君のティータイムを邪魔するバグは、この私が自ら宇宙へ飛んでいってでも斬る!」

かつての野心家たちは、今やリオンと娘・息子たちの「筆頭ファンクラブ」と化していた。彼らの政治的手腕は、大陸全土を「アストラル・アルカ支援組織」へと変貌させ、北帝国の女帝すらも巻き込んだ巨大なロジスティクスを構築していた。

#### 3. 次世代の旗手:若手メンバーと新たな参謀たち

リオンに憧れ、かつて共に大陸を駆けた若手冒険者たちや、カイト宰相に鍛えられた官僚候補生たちも奮闘していた。

* **銀の旋風(シルバー・ゲイル):** リオンの戦いを見て育った若手騎士団。彼らはジンの戦術を教科書にし、大陸に残るわずかな魔物たち(リオンのテイムから漏れたはぐれ者)を、「リオン様の手を煩わせるまでもない!」と秒速で片付けて回る。

* **魔導技術院(カイト・ラボ)の研究生:** カイトが残した「理系魔法」の走り書きを聖典として崇める若き学者たち。彼らは「第二艦隊」のメンテナンス用パーツを量産し、ポータルを通じて銀河へ送り出すため、24時間体制で研究に没頭していた。

「カイト先生の『熱力学第二法則・魔法的応用』があれば、この星のエネルギー問題は完結する……。先生が帰ってきたとき、『まだその程度か』と言われないようにしなきゃな!」

#### 4. 留守を守る者の誇り:リオンの慈愛の種

そして、大陸の中心には、かつてリオンが最初に救済した「元・魔王軍の拠点」を改装した、**超巨大型保養施設リオン・メモリアル・パーク**がそびえ立っている。

ここでは、引退した冒険者や、リオンに救われた元魔物たちが、穏やかな余生を過ごしている。

彼らは毎日、リオンが残した「慈愛の入り混じった砲台のレプリカ」を磨き上げ、宇宙の彼方へ祈りを捧げる。

「リオン様、ジン様、カイト様、ルミナス様。……そして、宇宙で増え続けているらしい『新しい家族』の皆さん」

その祈りは、アルトワールの加護を通じて、実際に銀河の深淵を走る『アストラル・クルーザー・マキナ』のシールドを、わずか数パーセントだけ強化する「絆の魔力」となっていた。

#### 5. 結び:母星の決意

「……セバス、見ていなさい。あの子たちが帰ってきたとき、この星を宇宙で一番『居心地の良い場所』にしておくのが、残された私たちの仕事よ」

ルミナスの母である辺境伯夫人が、夫たちが喧嘩(お互いの推し自慢)をしている広間を見つめながら、優しく微笑む。

エゼルガルド大陸は、今やただの惑星ではない。

宇宙の深淵で戦うリオンたちにとって、何があっても帰る場所があるという「究極の精神的支柱」であり、神の過保護と民の執念が結晶化した、銀河最強の「後方支援惑星」として、その黄金の輝きを増し続けていたのである。

**【幕間・終了】**

**物語の視点は再び、深淵の特異点へ向かうリオンたちへ――。**


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ