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第9話:王都の逃走劇と、最強スタッフによる竜の餌付け

第9話:王都の逃走劇と、最強スタッフによる竜の餌付け

「ギャオオォォォォォンッ!!!」

 紅蓮魔竜(クリムゾン・ドラゴン)へと進化したイグニスの歓喜の咆哮が、王都の広場をビリビリと震わせた。

 腰を抜かしてへたり込む野次馬たち。遠くからは「魔物の襲撃だ!」「騎士団を呼べ!」というパニックに陥った人々の声が聞こえてくる。

(や、やっべえええええ!! 嬉しさのあまり、こんな人目につくど真ん中で進化させちまった!)

 我に返ったリオンは、滝のような冷や汗を流した。

 このままここにいれば、間違いなく国軍に包囲されて厄介な尋問を受けることになる。平和なスローライフが、開始数日にして崩壊の危機だ。

「イグニス、お前目立ちすぎ! ほら、ちょっと屈んで! 走るぞ!」

「グルルッ!?」

 リオンは買ったばかりの飛竜(ワイバーン)のブーツに魔力を込め、イグニスの立派な角を掴むと、目にも留まらぬ速さで路地裏へとダッシュした。巨体に似合わず素早いイグニスも、主人の焦りに同調してドスドスと後を追う。

 そのまま人気のない廃屋に滑り込み、間一髪で【無限の箱庭インフィニット・ファーム】のポータルを開いて飛び込んだ。

     ◇

 リオンたちが姿を消した直後。

 広場を見下ろす高級宿のバルコニーから、その一部始終を熱を帯びた瞳で見つめている一人の少女がいた。

 燃えるような赤髪に、凛とした顔立ち。軍事力で国境を守護する名門、辺境伯家(へんきょうはくけ)の令嬢、ルミナスである。

「お嬢様、危険です! あのような場所に伝説の竜が――」

「静かに。もう竜はあの少年と共に消えました。……見ましたか、セバス。あの竜の美しき鱗、圧倒的な魔力、そして何より、あの少年に見せた子犬のような甘えぶりを」

「は、はい……信じられません。従魔術の歴史を覆す異常事態です」

 老執事の言葉に、ルミナスは妖艶に微笑んで扇子を閉じた。

「お父様は常に『真の力を持つ者を陣営に引き入れよ』と仰っています。あの少年……もし彼が冒険者なら、絶対に我が家門で保護し、支援すべきです。直ちに裏の者を動かし、彼の素性を調べなさい。決して危害は加えないように」

「御意」

 この時リオンは、自身の規格外な行動が、国のパワーバランスを揺るがす大貴族の目に留まってしまったことなど知る由もなかった。

     ◇

「はぁ、はぁ、はぁ……っ、死ぬかと思った……」

 箱庭の緑の平原に倒れ込み、リオンは大の字になって息を吐いた。

 その顔を「どうしたの?」とでも言いたげに、イグニスが巨大な舌でベロベロと舐め回す。

「お帰りなさい、リオン。あら、市場でずいぶん大きなトカゲさんを拾ってきたのね」

 のんびりとした声が降ってきた。

 見上げると、洗濯物のカゴを抱えたシスター・アンナがニコニコと微笑んでいる。その後ろからは、農作業を終えたレオとクロエもやってきた。

(いやいやシスター、大きなトカゲって。これ伝説のレッドドラゴン……あっ)

 そこでリオンは思い出した。今の彼女たちには、テイム神による過保護すぎるチートスキルが付与されているのだということを。

 案の定、イグニスは自分のテリトリーに見知らぬ人間がいることに気づき、「シュゴォォォ……」と鼻から煙を吹いて威嚇しようとした。しかし。

「ほら、そんなに怒らないの。お腹が空いてるのね。ちょうどおやつに、甘い果実のパイを焼いたところなのよ」

 アンナが【慈愛の聖母(マリア・オーラ)】のオーラを無意識に全開にしながら、熱々のパイをイグニスの鼻先に差し出した瞬間だった。

 イグニスの瞳孔がキュッと丸くなり、威嚇の煙がピタリと止まった。恐る恐るパイを口に含むと、その神がかった美味しさと彼女から放たれる圧倒的な『母性』に、伝説の竜はあっさりと陥落した。

「キュウゥゥン……♪」

 三メートルを超える凶悪な竜が、まるで猫のようにゴロゴロと喉を鳴らし、アンナの足元にすり寄ったのだ。

「すげえ……シスター、ドラゴンすらワンパン(パイ)で手懐けちまった」

「おっきくてかっこいい! ブラシかけてあげるね!」

「よし、俺はこのトカゲ用のデカい小屋をサクッと建ててくるわ!」

 クロエが【神の手入れ(ゴッド・グルーミング)】を発動させたブラシで鱗を磨き始めると、イグニスは極上のエステを受けたようにうっとりと目を閉じ、すっかり箱庭に馴染んでしまった。

 そこへ、「俺の主人の弟分か?」とばかりにノワール(月影狼)がやってきて尻尾を振り、シズク(清流粘体)がぽよんとイグニスの頭の上に飛び乗る。

「……うん。俺の牧場、完全に完璧だ」

 孤児院の最強スタッフたちと、楽しそうに戯れる魔物たち。

 その優しく平和な光景を眺めながら、リオンは「どんな魔物でもどんと来い」という確かな手応えと、至福の喜びに胸を熱くするのだった。

またまた失礼、というわけでそうです。あんな騒動起こせばそれは後ろ盾が必要ですだいぶ先ならまだ良かったのですがこんな早めに展開が、、、ってなりまして最後にはあそこまでなるとは思わなかった(≧∇≦)ブヒャヒャヒャ

でわでわ皆さんm(*_ _)m失礼します

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