第8話:王都の市場と、空を統べる紅き相棒
第8話:王都の市場と、空を統べる紅き相棒
冒険者ギルドで得た報酬の銀貨を懐に、リオンは王都の大通りに立ち並ぶ武具屋の門を叩いた。
「おや、いらっしゃい。見ない顔だが、新人かい?」
「はい。テイマーなんですが、機動力が高くて丈夫な防具を探してて」
店主の親父に相談し、リオンは『飛竜の革で作られた軽量な胸当てとブーツ』を購入した。直接魔物と殴り合うことはないテイマーにとって、従魔の邪魔にならない軽さと、いざという時の防御力は必須である。銀貨を数枚消費したが、今のリオンには痛くも痒くもない。
孤児院の麻服から、機能的でスタイリッシュな革鎧へと着替えたリオンは、すっかり一人前の冒険者の顔つきになっていた。
「よしっ、これで形から入る準備は完璧だ。あとは外の探索用に、もう一匹くらい頼もしい仲間が欲しいところだけど……」
現在、シズクは万能なサポート役、ノワールは箱庭の番犬(兼もふもふ要員)として大活躍している。今後、さらに危険な依頼や遠方の森へ向かうことを考えれば、圧倒的な火力を持つ「前衛」か、空から索敵できる「飛行型」の仲間が欲しい。
そんなことを考えながら市場を歩いていると、路地裏の広場から怒声と騒めきが聞こえてきた。
「ええいっ! この役立たずのトカゲめ! また客の指を噛みちぎろうとしやがって!」
人だかりの中心で、怪しげな身なりをした魔物商人が、鉄の檻に入った小さな魔物を太い鞭で叩きつけていた。
檻の中にいたのは、全身が煤で汚れ、無数の傷跡が刻まれたトカゲのような魔物だった。背中には小さな皮膜の翼が生えているが、ボロボロに破れている。
「おいおい、そんな凶暴な魔物、早く殺処分しちまえよ」
「ああ。小ぶりな飛竜の出来損ないだろう? 売り物になんてなりゃしねえよ」
周囲の野次馬たちが冷ややかな声を浴びせる中、リオンの歩みはピタリと止まった。
鞭で打たれ、血を流しながらも、その小さな魔物の瞳には決して屈しない「王者のような猛々しい光」が宿っていたからだ。
(あいつ……タダのトカゲじゃない!)
リオンは即座に【神羅万象の絆】を起動し、その魔物の詳細なステータスを視認した。
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【種族】幼炎竜
【レベル】2
【状態】重傷・人間への強い憎悪
【好感度】-50/100
【潜在能力】SS(古の竜族の血脈)
(潜在能力SS!? しかも、ワイバーンじゃなくてドレイク……本物のドラゴンの幼生じゃないか!! こいつら、この激レア個体をタダのトカゲ扱いしてるのか!?)
ゲーマーとしての血と、魔物への愛情が同時に爆発した。
リオンは人だかりを掻き分け、鞭を振り上げようとした商人の腕をガシッと掴んだ。
「何をするガキ! 邪魔をするな!」
「そのトカゲ……いや、その魔物、俺が買い取る。銀貨五枚でどうだ」
チャリン、と革袋を鳴らすと、商人の目の色が変わった。
殺処分するしかなかったゴミに銀貨五枚も出すというのだから、商人にとっては願ってもないカモである。
「ひっひっひ、毎度あり! だがな坊主、そいつは人に懐かねえ呪われた個体だ。噛み殺されても文句は言うなよ?」
「ああ、構わない」
商人が立ち去り、野次馬たちが遠巻きに見守る中、リオンは檻の鍵を開けた。
「グルルルルッ……!!」
檻から這い出した幼竜は、鋭い牙を剥き出しにし、リオンに向かって威嚇の唸り声を上げる。過去の虐待による人間への強い不信感が、その小さな体を震わせていた。
だが、リオンは全く怯むことなく、革鎧の膝を折って幼竜と同じ目線に立った。
「痛かったよな。辛かったよな」
リオンはゆっくりと手を伸ばす。
ガブッ!!
幼竜の鋭い牙が、リオンの腕に深々と突き刺さった。鮮血が滴り落ち、周囲の野次馬から悲鳴が上がる。
しかし、リオンは表情一つ変えず、優しく、本当に愛おしそうに、幼竜の頭をもう片方の手で撫でたのだ。
「大丈夫。俺はもう、絶対にお前を叩いたりしない。お前は強い子だ。だから……俺と一緒に来い」
神スキルによる絶対的な『慈愛』の波動と、リオン自身の本気の愛情。
それが伝わったのか、腕に食い込んでいた牙の力がスッと抜け、幼竜は大きな瞳からポロポロと涙をこぼし、リオンの腕にすり寄った。
『ピコンッ!』
『幼炎竜の好感度が急上昇しました!(-50→100)』
『幼炎竜とのテイムが完了しました!』
「よし……。お前は誇り高い炎の竜だ。名前は『イグニス』。これからよろしくな、イグニス!」
リオンがそう高らかに宣言した瞬間、王都の広場を、太陽が落ちてきたかのような目眩いほどの真紅の光が包み込んだ。
『従魔に名前が与えられました。ネームドモンスターへと昇格します』
『潜在能力SSの恩恵により、限界突破の進化条件を満たしました!』
「な、なんだこの光は!?」
「熱い! いや、心地よい暖かさだ……!」
光が晴れた後、そこに傷だらけの小さなトカゲの姿はなかった。
体長は三メートルを超え、太陽の光を反射してルビーのように輝く美しい紅の鱗。背中には空を覆うほどの力強い双翼が生え、その口元からはチロチロと高圧の炎が漏れ出ている。
それは紛れもなく、物語にしか登場しない伝説の存在。
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【種族】紅蓮魔竜(成長期)
【レベル】20
【状態】良好・絶対の忠誠
【スキル】飛翔Lv3、紅蓮のブレスLv2、竜鱗防壁Lv2
「ギャオオォォォォォンッ!!!」
イグニスが天に向かって歓喜の咆哮を上げると、大気が震え、野次馬たちは腰を抜かしてその場にへたり込んだ。
「ははっ、すっげえ……! めちゃくちゃカッコいいじゃないか、イグニス!」
「グルルッ♪」
恐ろしい外見とは裏腹に、イグニスはリオンに顔をすり寄せ、犬のように甘えた声を出している。
空を飛び、炎を操り、圧倒的な防御力を誇る最強の前衛。
外での冒険に向け、リオンのパーティーは、もはや国軍すら単独で凌駕するほどの戦力を手に入れたのである。
さて久々の後書きここなんです狂ったのこの騒動を起こしたことにより次話からの展開が、、、、とりあえず次話で確認を( ̄▽ ̄;)www




