表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/80

第41話:絶望を呑み干す神獣の円舞、朱雀・新生!

第41話:絶望を呑み干す神獣の円舞、朱雀・新生!

 ドゴォォォォォンッ!!

 山頂の火口が激しく咆哮し、数千メートルの高さまで黒煙が噴き上がる。

 『ランド・アルカ』の耐熱障壁がバチバチと火花を散らし、外部の熱センサーが計測不能の振り切れを見せていた。

「リオン君、あと三分だ! 溜まりに溜まった瘴気と熱エネルギーが限界を超える。爆発すれば、南の領地は地図から消えるぞ!」

 ジンが脳内の【天眼の軍師】で弾き出した絶望的な予測。

 目の前の火口には、真っ黒な瘴気の泥に絡め取られ、炎の翼をボロボロに損なわせた神鳥『朱雀』が、己の命をまきにして爆発を内側から抑え込んでいた。

「……三分もいらない。三十秒で全部片付けるぞ。みんな、準備はいいか!」

 リオンの叫びに、四神を含む従魔たちが咆哮で応える。

 この地獄を無傷で突破するための、リオンの「奇想天外な作戦」が幕を開けた。

「第一段階(フェーズ1)、空間固定! ゲン、行け!!」

 ズズズンッ!!

 玄武のゲンが、灼熱の溶岩が溢れ出す火口の縁へとダイブした。神スキル【不動の守護城】が展開され、崩落しかけていた山頂の地盤が、まるで鋼鉄のボルトで固定されたかのようにピタリと揺れを止める。

「第二段階(フェーズ2)、大気圧縮! セイラン、嵐を呼べ!!」

 空へ舞い上がった青龍のセイランが、火口の真上で巨大な『逆回転の台風』を発生させた。猛烈な気圧差が、噴き出そうとする溶岩を上から力ずくで押し戻し、同時に火山の毒煙を上空へと一気に吸い上げる。

「第三段階(フェーズ3)、エネルギー抽出! イグニス、お前の出番だ! ライガ、サポートしろ!!」

 火竜のイグニスが火口へと突っ込み、爆発の原因となっている「過剰な熱エネルギー」を、喉が裂けんばかりに吸い込み始めた。溢れ出そうとする熱流が、イグニスの体内へと逆流していく。

 そこへ、白虎のライガが周囲を光速で旋回し、放電による磁場を形成。エネルギーを一点に凝縮し、イグニスが飲み込みやすいように「整流」した。

「よし、ここからが本番だ! ルミエル、シズク! 朱雀の『心臓外科手術』を始めるぞ!!」

 リオンの指示に、誰もが耳を疑った。

 リオンは、昨日レオが箱庭の中に創り出したばかりの**「海」へと通じる超巨大ポータル**を、火口の真上に展開したのだ。

「ジンさん、計算通りにやるぞ! ――ポータル、オープン!!」

 ドドォォォォォッ!!!

 空中に開いた穴から、箱庭の清浄な海水が「巨大な滝」となって火口へと降り注ぐ。

 普通なら水蒸気爆発を引き起こすところだが、そこに清流粘体(アクア・スライム)のシズクが割り込んだ。シズクは瞬時に数千倍のサイズへと巨大化し、降り注ぐ海水そのものと一体化。

 ルミエルの【聖域展開】をその身に纏ったシズク(海水の巨体)は、熱を完全に遮断したまま、溶岩の底で沈みかけていた朱雀を優しく包み込んだ。

「シュルルゥゥッ!(今だ、ハク! 毒を吸い出せ!)」

 白大蛇のハクが、シズクの体を通って朱雀の元へ到達。瘴気に侵された朱雀の核から、黒い泥を神速で吸い上げ、同時にルミエルの浄化の光が朱雀の翼を黄金色に再点火させる。

 ――ピィィィィィィィンッ!!!

 次の瞬間、真っ黒な瘴気を纏っていた鳥が、目を眩ませるほどの紅蓮の輝きを放って爆発した。

 それは破壊の爆発ではない。完全な「転生」の光だ。

 瘴気はイグニスに食い尽くされ、過剰な熱はシズクによって冷却され、噴火の圧力はセイランとゲンによって完全に制圧された。

 爆発するはずだったエネルギーは、すべて朱雀を「完全な姿」へと蘇らせるための糧へと変換されたのである。

 静寂が訪れた火口から、一羽の美しい鳥が舞い上がった。

 燃え盛る炎の尾を引き、空を朱く染め上げるその姿こそ、南の守護神。

「……成功だ。一人の怪我人も、一滴の溶岩の流出もなしだ!」

 リオンが拳を握りしめると、空を舞う朱雀がリオンの頭上へと舞い降りた。

 朱雀は、命を救い、自分を最も美しい姿で転生させてくれたこの少年が、伝説に語られる『真の主』であることを直感していた。

『ピコンッ!』

紅蓮の神鳥(サウス・フェニックス)とのテイムが完了しました!』

「お前は、この世界を照らす夜明けの炎……『カゲロウ』だ!」

 名付けの瞬間、カゲロウ(朱雀)が歓喜の鳴き声を上げると、火山の黒煙は一瞬で晴れ渡り、街には穏やかな暖かさだけが戻った。

「……あ、ありえねぇ。火山の噴火を『箱庭の海』で冷やしながら、そのエネルギーを神獣の進化に回すなんて……。リオン君、君はもうゲーマーを超えて、この世界のシステムそのものをハッキングしてるよ」

 ジン伯爵が、震える手でタブレットのログを確認しながら、呆れ果てたように笑った。

 その隣でルミナスは、あまりにも美しく解決された「地獄」の景色を眺めながら、満足そうに扇子を広げた。

「ふふっ。リオン様が不可能を可能にするのは、もはや我が家の日常ですわ。……さあ、これで四神も揃いました。最高のパーティーの完成ですわね!」

 玄武、白虎、青龍、そして朱雀。

 リオンの元に、伝説の四神がすべて集結した。

 大陸を覆おうとしていた厄災の火種をすべて摘み取ったリオンたちの冒険は、ここからさらなる伝説へと、そして彼らの「理想の牧場作り」の完成へと向かって、爆走を加速させていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ