第123部分 自宅の災害時新体制の構築⑭
第123部分 自宅の災害時新体制の構築⑭
第121部分で書いたように、準備してるとか、いろんな手の内だとか、SNSで発信するのはまさに自殺行為である。
しかし、SNSでも公表せず、当然御近所さまにも黙っていたとしてもその「備蓄」の存在が知られてしまうことがある。
たとえば匂い…
腹の減った某さんが避難所の自身の定位置でカップ麺を食べようとしたらしい。とは言っても伝聞なので湯とか水とかをどのように調達したか等詳細は不明である。
とにかくたちまち臭いで気付かれ、見る間にヒトダカリができる。
そして口々に
『あの、一口で良いから分けていただけませんか?』
どひゃ~~っ!
とても食えたもんじゃない、普通のヒトの神経ならば…
しかし、いまここは被災時の避難所である…
どうするサティ…
かと言ってただ呉れてやるのも業腹極まりない。
ぬぬぬぬ…
オレはなにも悪いことはしていない。なのになんでこんなに理不尽に追い詰められなきゃならんのだ… そこで、
『イヤです、ほらみなさんご覧のとおり、たったいま私の聖水をたっぷり添加したので他人に衛生的に分けてさしあげることはできません』
あ、これはjkとか若くて綺麗な女性には使えない手段であることは言うまでもない。
そもそもこれは私が私財を投じて買った私の財産である。扶養親族以外の貴方に譲る縁も謂われもサラサラないのだから、聞く耳を持つ必要はない。
察するにここでどうするか右顧左眄したり、四の五の説明や言い訳を論じるより、相手など見向きもせずひたすら黙って食いきってしまい、多少強引ながらも争いの元凶たるカップ麺を消去するのがもっとも正しい対応策なんじゃないだろうか。
同様に避難所でこっそりチョコでも齧ろうもんならたちどころに気付かれるらしい。
それが最後の1個なら『もう食っちゃった』で済むけど、予備やストックがあると面倒なことになりそうだからこれはもうひたすら隠し通すしかあるまい。互助の精神など、自身にゆとりがあるときしか発揮しちゃならん… だってその先に待ってるのは「共倒れ」という悲しい結末なんだから… これ間違ってますか?
かといって自宅避難でも似たようなことはあるらしい。
カセットコンロでカレーを作れば、魅惑的な香りが御近所さんの食欲を刺激するのは必定…
要は臭いも包装ゴミも、そして夜間は灯火さえ… そう、「電気による灯火さえも漏らさない」のが「備蓄」を悟られないための唯一に近い方法なんだとか… 某動画では「段ボール等を駆使して灯火を漏らさないのが犯罪者の目を避ける方法」とまで言われていたくらいだから…
まったく… 処置なしだね。
そして、音。
音だって同じだ、と考えるのが自然だろう。
サティが危ぶんでいるのが、その音…
そう、カセットボンベ式発動発電機(以下、発発「はつはつ」)の動作音である。
以前にも書いたけど原付より大きな約60ccのエンジンがおそらく4000~6000rpm(1分あたりの回転数)で動作し続けるのである。おそらく、というのはタコメーターという計測手段がないからで、まあ昔バイクに乗ってた勘、てやつかな…ww
そんなワケで、発発からそういう音がしないワケがない… どころか機構に異常がなければ御近所丸聞こえの音量で発電に勤しんでくれるはずだ…
ありがたい、しかし実のところ迷惑極まりない。御近所からは騒音に託けて文句と要求が出そうだし、サティ本人にさえも「存在が筒抜けになるきっかけ」として… どうぢても消音装置が必要なんだけど…
なんでそんなにやたら五月蠅いんだよ! ←そりゃシリンダー内でひっきりなしに「爆発」してるんだからさ
そんな音立てたらバレてしまうでしょ、チミ…
そういえばたしか売り文句の1つは「静音型」だったよね、チミ…
だからさ、もうちょ~っとだけでもさ、どうにかならんかね、チミ…
どう眺めてみても発発本体にこれ以上音を静粛化する機構は付属していないし、オプション設定もない。
ならば…
自分で作るしかない?? そうなのか、本当にそうなのか?
ぶにおあああ、そのようだ… 答えはそれしかない。
でも、サティにでもわかる。この解決策には初めから大きな矛盾が内包されていることが…
音を響かせないようにするならば密閉空間を造るのが望ましい。
しかし発発を安全正常に動かすには扉を開け窓を開いてばっちり換気しなければならない。なぜなら燃焼には多量の空気が必要だからである。かと言ってこれじゃ音は文字通りダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ・ダ…漏れになってしまう。
ぬぬぬ… これはムリだ…
あ、いや、でも密閉になるべく近い空間に閉じ込めて、必要な空気を強力なファンで押し込む一方で、同様に排気させたならば?
要は音の低減であって、必ずしもゼロにする必要はないんだから。あとはこの容器内に音消し用のゴムの❔をプニプニ?というかスポンジみたいなヤツを貼り付けたらどうだろうか? これはある意味の力技であるが、そうだな、科学技術ならなんとかなりはしないだろうか。
あ、そういえばそんな技術があった気がする。そんなユニット、どっかで「安く」入手して応用できたらサイコーなんだけどな…
何だっけな… まあそんな柔な取り組みじゃ消せない音のような気もするし、とりあえず物理的に封じ込める力技の方から行ってみよう。
まず…
発発は内燃機関式のエンジンであり、CB缶内のブタンガスや多量の空気を消費しながら動作して電気を発生させる代償に大きな音や多量の排気ガスが廃棄される。この中には消費した酸素とほぼ同量の二酸化炭素だけでなく多種多様の有害物質が含まれている。どれもこれもできれば避けたい化学物質ではあるが就中恐ろしいのは一酸化炭素である。臭いとか刺激臭とかは避ける逃げるという手段を講じることができるが、無色かつ無味無臭の一酸化炭素にはまずその存在からして気付きようがない。
実のところカセットガスコンロ、石油ストーブ、ファンヒーター、薪ストーブ、七厘、その他ガスの調理器具… 実はどれもこれも一酸化多かれ少なかれ一酸化炭素を発生させつつ燃焼しているが、普段の私たちは別段危険との意識も認識もなくダイジョブだろ… と平気でごく無造作に使用しているものばかりである。実際ほとんど事故は起きてはいないのでムリもないが、それはこれらを「ほどほど通気のあるところで用いる」のが暗黙の原則になっているからだ。そもそも日本の木造住宅は夏の高温多湿に合わせて建築されてきたので、黙っていても天然の冷暖房が完備されている作りだったので、格別の配慮は無用だったのだ。
暗黙過ぎて時にそれらを忘れてしまうことすらある。それが「狭くて通気の悪いところで使う」場合である。いくら機材の使用法に注意書きが書いてあっても、「慣れている」人々にとっては何の警鐘にもなりはしない。しばしば狭いクルマのなかで故意に練炭を燃やす方々もいたりするワケで… 目的は全く違うけど… それでも事に先立って窓や扉に粘着テープで目張りをするのは、意外にもクルマはある程度通気するように作られているからだ。しかしそれが雪に降りこめられた車内や小さな密室となると状況は一変する。
先述のとおり一酸化炭素は無色かつ無味無臭なので、ニンゲンの五感で検知することはほぼ不可能である。
「なんかおかしいな」とぼんやり思ったとしても、そのときには「これは一酸化炭素中毒かな」と推理する判断力は既にほぼ失われており、当然取るべき「換気」という行動にも移れないまま筋肉が弛緩しっぱなしになっていくものらしい。つまりこれは… 仮に正しく判断できたとしても、その時にはすでに思うように身体を動かせなくなっている可能性が髙いワケだ。
通常人体内では赤血球にふくまれるヘモグロビンというタンパク質が肺で酸素と結合し、組織で酸素を離すことによって体内の隅々にまで酸素を運搬している。つまりヘモグロビンの、条件次第で酸素と「弱く」結合したり離したりするというヘンテコな性質のおかげで身体のすみずみまで酸素を運搬できるワケだが、一酸化炭素はというとヘモグロビン熱愛で「強く」結合するという… 生物にとって厄介な性質を持つのである。
つまり肺でのヘモグロビンは酸素を放置して「一酸化炭素と強く」結合するだけで、当然「組織でも酸素を供給しない」ことを意味する。ならば人体の組織はどうなるか…
そう、血がいくら巡ってきても肝腎のヘモグロビンは酸素を持ってきてさえいないで浮気相手と強く結合しているワケだ。ゆえに組織は酸素を得られず「酸欠」になる… だからやがて死ぬのである。
無論神経も筋肉も充分活動できず弛緩したまま… ゆえに表情筋は緩み、どちらかというと微笑んでいるように見えるらしい。
これを見た方々が「一酸化炭素中毒ならラクに死ねる」と誤解するのも無理はないように思えるが… ラクかどうかは本人以外誰にもわかりはしない。途中で「やっぱ生きたい」と心変わりしても身体の自由は効かないし、逆に失敗したり中途半端に助けられたりした場合には「余生を一生治らない(脳等の)後遺症と共に過ごす」という生活が待っている気がする… これが一番の地獄かもな。
えっと… やばい、話が反れた。
早い話、日本製センサーを搭載した一酸化炭素チェッカーを使いましょう、という単純な話に帰納すれば良い。密林で3000~20000円程度で販売されているから… サティも買いましたよ、当然。
ところで…
サティ専用の部屋は家のウラ側…つまり北西向きの2階3畳間で、巾30cmほどの狭いガラス戸が2枚入った窓が北西と南西の2面にある。ここから音をなるべく広めずに…できれば閉じ込めたいワケだ。しかも自身の生活にはできるだけ支障がないように発電したいのだから、使えるのはココしかない。1階の風呂場やトイレとか台所では道路を通行人にはバレバレになってしまうだろうから論外だ。
おそらく御近所にも気付かれてしまうだろうけど…
ま、とにもかくにも実験だ!
北西と南西の2面の窓を開け、一酸化炭素チェッカーを作動させる。無論濃度はゼロを指している。
チョークを活かせ濃い燃焼ガスを作る設定にしてエンジン始動…
あっという間にチェッカーがけたたましく騒ぎ出す… まだ10秒も経ってはいないだろうに… 見ればCO濃度の目盛りは既に軽々と500ppmを越え、さらに上昇しているではないか。当然警報音が鳴りはじめ、声高に響き続けている。
おい、もう? マジかっ!
あ、まだチョークが効いて、燃料が濃い…相対的に酸素が不足気味だからだろなぁ… 慌ててチョークを戻して正常な混合気を吸気させるが、一向に警報音は鳴りやまない。
ああ、どうしたらよいかなぁ…
いや、その前に、この部屋に居続けたらサティがCO中毒になってしまうのではないか。
とりあえず、音の聞こえ具合をチェックしてこよう… 発発もチェッカーもそのままに部屋を出て扉を閉め、階下へ、そして屋外に出て一巡しながら聞こえてくる音の様子を窺う。
うん、玄関含めた家の正面(南東側)ではあまり聞こえないぞ
南西側は…ここは派手ではないものの若干聞こえるな… でも南東側のバルコニー上で動かすことに比べたら格別どうということもない。
もう一軒の隣人様宅を回り込み、さらに別の隣人様を越えて自宅の裏側の隣人様宅を挟んで聞いてみる。やはり窓を開け放してあるせいか、ここにも音の漏れがあって、これじゃ存在がバレちまう。やはり音が部屋を出る前に何らかの形で一度「封じ込め」をしなければなるまい。
それでいてなお、COチェッカーの警報音は聞こえてくるから、COはチョークのせいだけとか言えないワケだ。
過呼吸になるほど呼吸し、最後に思い切り吸気して息を止め部屋に戻って…
もうなかばヤケクソ状態で発発の排気の中にCOチェッカーを突っこんでみる。
ああああああ… あかんわ、こりゃ、中止中止!!
うすうす勘付いてはいたけど、改めて確認できたことは…
1,CO被害防止のため部屋の扉は窓は原則として締めるが、同時にこの部屋の換気システムを新に作る必要がある。その動力源は発発で作る電気の一部を充てるものとするしかあるまい… もったいないけど。
2,部屋の中に「発発を収納する構造物」を設置し、初期段階でも消音を企図する。
3,発発の動作(完全燃焼)を継続するため、2の箱には強制吸気用および強制排気用のファンを設置する必要がある。動力は発発の出力の一部を充てる… もったいないけど。そうだ、たしか発発にはUSB-AとタイプCの直流5V電源が付属してたからアレを使えば手っ取り早いんじゃないかな。あ、でも1の部屋換気システムに使う換気扇は交流100Vの電源じゃないと無理だろうな、うん。
4,音は想像以上に大きい。よって電気のある生活実現のためにはなんとか消音装置を製作する必要があるが、製品もモデルもないから特注以外には自作しか方法はない
はああ、でも言うは易く、実践は難し。
具体的にはどうすりゃいいのさ…
知恵は出ないけど、いっぱい出やがるぜ、ため息が…




