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願いが叶った女  作者: 花梨
36/56

№35

その入り口は変だった。

どう見てもバスルームかトイレ、

家主であるアデルに案内されて来た場所。

意図的にそうしたのだろうと想像はできても、何故?

とユリアは不思議でならなかった。


中に入ってなるほどとその理由に納得した。

入り口の見た目とはかけ離れた広さ。

どういう仕組みかと気になるが、今はそれよりもその中にあるものに、

気がいってしまう。整然と並ぶあらゆる武器。

それに特殊な器具が並んでいた。


「これは…凄いな……。」


元将軍のマクダーモットが声にした。


「アデル、一度軍の訓練施設を見てくれないか、意見を聞きたい。」


皇太子がすかさずアデルに問う。


「はい、殿下、息子に行かせましょう。」


あまり詳しくない者達にもなんとなくわかるその設備の充実度。

ユリアは凄いところに来てしまったと思っていた。


「ね、わたくしが言った通りでしょ。ここが一番適してるって。」


王妃が満足そうに笑っていた。

早速彼等はここの結界を補強する準備に取り掛かった。

その間、息子のアデルが武器、火薬類等を隣の武器保管庫へと移動させる。

王妃と皇太子を除く四人の老体達が一気に魔力の比重を上げ、

結界を強固なものにしていく。

その間、王妃がユリアに魔力の出し方を教えていた。


「ユリア、私のお腹に手を当ててみて、魔力を感じて頂戴。」


言われたとおりに王妃のお腹に手を当てる彼女。

ユリアはこれだと思った、この前感じた感触、これが魔力なのだと。

準備が終えた老体達のお腹にも触れさせてもらった。

統括のアデルのお腹も触った。うん、これだと彼女は魔力を捉えていく。

王妃が皇太子のも触ってごらんと言うので皇太子のお腹にも触れたユリア。

その表情が変わっていく、ハッとして思わず皇太子の顔を見上げた。


「ふふふ、ユリアわかった?皇太子の魔力は想像以上でしょ。

それでも全部ではないのよ、これでもこの子抑えているからね。

まったくむかつくわ、親よりも凄いなんて。」


正直私は驚いてしまった、それと同時に怖いと思った。

鬼畜は……怖い…。魔力が他の人とあきらかに違う。

これでも……抑えている……。まったく想像もつかなかった…。


「おい、全力で魔力を出してみろ、この部屋がぶっ飛ぶくらいに、

その時はすんでで止めてやる、部屋がぶっ飛ぶ前にな、安心しろ。」


呆然としていたら頭上から声がした。

私は鬼畜の顔を見上げて、大きく頷いた。


連れてこられた場所は空気が重かった。

空間に作られた透明な部屋があるような錯覚を覚えてしまう。


目を閉じ王妃様に言われた通り、魔力を捕まえに行く。

身体の一点にそれらを集めるように脳に必死に命令をした。

じわじわと何かが集まってくるのがわかる。

これだ、と瞬間的に思った私は、それを必死にかき集めた。

初めての感覚、身体が浮いてしまいそう、もうこれ以上は地面から離れる。

そう思って、両手を空に向けて魔力を手のひらまで押し上げ放り投げた。


皆が見守る中、それは一瞬の出来事だった。

地面が揺れた、建物が揺れた。空気が震えた。

突き抜ける、と思った瞬間、皇太子の魔力がそれを呑み込んだ。

王妃が瞬時にユリアの傍に行き、彼女の肩を抑えた。

ヒュンと空気の流れが変わり、元の静かな室内へと変わる。


言葉を失くしたように誰もがただ彼女を見ていた。




「大丈夫か?」


その声に私は飛ばしていた意識を取り戻した。

見上げると鬼畜がすぐ傍に立っていた。


「殿下……。」


「今のが魔力だ。初めてにしては良くできたな。」


もしかして…、今…、褒められた?

そんな事を考えていたら、鬼畜が自分のマントを脱ぎ私の肩にかけてくれた。

なんでマント?と鬼畜の意味不明な行動に首を傾げてしまった。

王妃様がクスクスと笑うからますます不思議に思っていたら…。


「ユリア、着替えなくてはね、ほら、ドレスボロボロになってるわ。」


え? ボロボロ? 言われて自分のドレスを見たら…、………。

びっくり!!! いつのまにか本当にボロボロになっていた。


「んーー…、これはかなり着替えを準備しないといけませんわね。」


その声に皇太子が


「私の子供の頃の服を緊急処置としてユリアに着せては?

その間に私のストックされている布地でドレスを作らせましょう。」


「そうですわね…、それで乗り切りましょう、でも…デュークの布地は…、

地味ですわ……、ユリアには可愛そう…。直ぐに可愛いのも用意させるわ。」


二人の会話についていけない…、なんで鬼畜のおさがり?


「ユリア、毎回自分の魔力でドレスを破いていたら面倒でしょ?」


????? まったくわからない…。


「まだユリアは魔力の加減の調節ができてないからそれを覚えるまでは、

今のようにドレスをボロボロにしてしまうのよ。」


え? 意味がわからないと首を傾げていたら、鬼畜が説明してくれた。

強大な魔力保持者は皆、魔力を抑えて生活をしていると、

普段の生活範囲では極僅かな魔力で事足りるらしい…。

私の場合はそれが上手くできないので自分の服や場合によっては、

自分の身体も傷つけてしまうらしい…。こわっ。

鬼畜も子供の頃からすんごい魔力だったので、特別な布地でないと、

すぐにボロボロになってしまっていたんだって…。生地に魔力が練りこまれた

特殊な布地で頑丈につくられているから破けないらしい…。

どんだけ鬼畜は…。………。こわっ。


強大な魔力保持者達はその極僅かな魔力ででも瞬間移動ができるんだって…。

って事は…、ここに居る人達は……、思わず周りを見渡したら、

ここに居る人達は、普段は極僅かな魔力しか使ってないんだと言われた。

なんか普通に見ていたけど…、この人達…やっぱ凄いんだっ。

いきなり尊敬してしまった。……なんて失礼な私なんだろ……。


そこで気になるのは自分の事…、とりあえず聞いてみた。


「あの…、私は…魔力を抑えなくてはならないんですか?」




うっ…、なんなのこの沈黙…。身の程知らずな発言したかも…。ヤバイッ。


「あはは…、そんな事ないですよね……、すみません…。」


もう、穴があったら入りたいってのはこんな事なんだと思った。



「クッ…、ハハハハハッ。」


鬼畜が突然笑い出した。失礼なやつ…、私だって反省しているのに…、

そこまで笑わなくてもいいのに…。あぅぅ…、身の程知らずの私のバカッ。


「ユリア勘違いしているようだな、気づいてないのか?

お前は強大な魔力保持者の仲間入りをしたんだ、ここに居る者達と、

なんら変わらない、皆もお前の魔力を確認してそれは気づいている。

だから驚いて言葉も出てこないだけだ。」


鬼畜にそう言われて驚いた。恐る恐る周りを見たら…、

なんとなく…驚いたような顔をしている気がしてきた……。

信じられない…、んんー…。本当なのかな…。


「ん? まだ信じられぬようだな、まあ気持ちもわかるが、

それが事実だ。着替えが届くまで少し話しをしないといけないな…。

母上、ユリアの着替えを取りに戻りますので、後、頼んでもよろしいですか?」


「ええ、それと陛下と宰相の時間があれば連れて来て頂戴。」


「わかりました。」


鬼畜がその場から消えた。本当に一瞬で消えた。

これが…この人達の当たり前なんだと気づいた。

サラやアビエルも凄いと思っていたけど、

ここに簡単に来れないと言う事は……、ここに居る皆は…、まさに規格外。

その方達の仲間入りをしたと簡単に言われても…正直わからなかった。




「ユリア…、本当にお前という子は…、……。」


お父様が涙目になっている。これは…悲しいの?それとも嬉しいの?


次々に声をかけられて、お父様が喜んでいたんだと気づいた。

皆が私の魔力に驚いている…。……。身の置き所がない…。


それから私は、これからの事について説明を受けた。

魔力をコントロールできるようになる事が一番大事だと言われた。

それと…、魔力をむやみに出しては駄目だとも言われた。

私のように未熟なくせに魔力だけ沢山持ってるような者は、

いろんな意味で狙われるらしい。

この魔力を悪い事に使おうと優しい声をかけてくる者。

他国の者から見たら、脅威となるので誘拐か、暗殺の対象になるって…。

誘拐されたら…一生その国の為に利用されるかもしれないらしい…。

物凄く恐ろしい事を平然と言ってらっしゃる…。こわ…。

隠し事をしても、私が現にその魔力を持ってしまっているから、

はっきり言って、危険度を認識してもらう為だと言われた。

ちなみにサラ達は知ってると言われて物凄く安心した。

うん、むやみやたらに出歩くのはやめよう。


魔力を出したり、練習するのも、その為、この場所にしたと言われた。

私の魔力の事は国家機密だってっ!!!!!



なんだか……、凄い事になってきました……。





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