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願いが叶った女  作者: 花梨
28/56

№27

壁に立つ騎士はギシギシと軋む床や壁、書棚に並ぶ本を眺めていた。

上手い具合に落ちそうで落ちない。

必死で興味をそんな事に向けていた。

出来ればここから逃げ出したい。

騎士の衣服が微かに揺れ、微妙な振動を受けているのもそろそろ限界。

内臓が悲鳴を上げそうだ。嘔吐も時間の問題。



そんな最悪の状況の中、王妃は突然護衛のアギーとともに、その場に現れた。



「何をしているのですかっ、彼等を見なさいっ、もう限界のようですわっ」



いつのまにかヨレヨレの衣服になっていた護衛の騎士達。

顔色は真っ青を通り越して、白くなっていた。



「アギー、彼等をお願い、あなた達…、移動はできる?」


頷く彼等を確認した。


「アギー、医務室へ連れて行きなさい。体内にまで損傷があるわ…。」


アギーが彼等を支えながらその場から消えた。



怒りに満ちた顔の王妃。その顔に怯える国王陛下とオードノギュー公爵。



国王と公爵が物凄い覇気を出しながら言い争っていた。

その覇気に当てられたのが、護衛騎士達であった。

強力な魔力保持者の二人が言い争いとはいえ、怒りを撒き散らした結果が、

今の悲惨な現状だった。



「ご自分達が何をしたのか理解しているのかしら?

この国の大切な騎士を、我が大切な家臣を、なんと愚かな。」


凄みを増した王妃がじりっじりっと二人に近づいていく。

振り上げられた両手。


「「 うぁぁぁあああ、」」 うずくまる二人。


「彼らの苦しみにはまだ足りませぬ。よーく反省して下さい。」


でこを押さえて痛みに耐えている二人は王妃の言葉に頭を下げた。



魔法により冷えたおしぼりをおでこに乗せてる二人を目の前に、

その理由を問いただす王妃であった。

先に口を開いたのはオードノギュー公爵。


「王妃様、聞いてください、陛下が信じられぬ事を申されまして。」



公爵の言い分はこうであった。

アデルより魔法取得の許可が出たユリアに対して、

公爵に魔法の伝授をお願いしたいと、それは願ってもない事、

ユリアに魔法を教えるのは何の問題もない、他の者に教わる方が嫌だと、

しかし、問題はそこではなかった。

皇太子妃候補という、危険な立場のユリアを、

毎日後宮より、王城にある公爵の執務室へと通わせるという事であった。

現時点では何かある事は少ないと思っている公爵も、

時間が経てばそんな事も言ってられない事がわかっているからである。

そこを逆手に取ると国王陛下は言っていたのである。

いわゆる、ユリアは囮になるという事だった。

後宮から王城への往復、有力貴族達なら、個人的な闇を動かすのは

容易に想像できるからであった。

だからといって、すぐにユリアが襲われる事も現状では考えられぬ事。

しかし、わずかな危険も冒したくないのが公爵の気持ち。

今はまだ、誰が危険人物かも計り知れない状況。

既に、あの森には誰かが潜伏しているかもしれない。

こちらが、向こうの動きを知りたがるように、相手も同じ。

ユリアが動けば、おのずとその闇も動く。

その闇の動向を、国王直属の闇部と将軍率いる国家の闇部が

後をつけ、動いている人物が誰なのかを探るというものであった。




「陛下と公爵の言い分、わかりました。そう言う事ですのね…。」


しばらく何かを考えていた王妃、そして二人に語りかける。


「お二人とも、少しは落ち着きましたか?」


頷く二人。


「それでは、気配と魔力を消して下さい。お二人に見せたい物があります。

宜しいですか?では、私に着いてきて下さい。」


にっこり微笑むとその場から消えた王妃。





「これは……、」


連れて来られた場所で、目の前の物体に対して言葉がでない国王。


「あの若造めが……。クッ…。」


同じく不敬罪にもなりかねない言葉を出したオードノギュー公爵。


「では、長いは無用、陛下のお部屋に戻りますわよ。」


その言葉で我に返る二人、瞬時にその場から消えた。





「私が何を言いたいか理解して頂きましたでしょうか?」


頷く二人。


「その事も踏まえて、先程の事もう一度冷静にお話し合いして頂きます。」



眉間に皺を寄せ、腕組みをした二人、視線はあわせず、ただ考えていた。

何が名案なのかを、必死で考えていた。時間だけ過ぎて行くのであった。





先に動いたのは、またもや公爵。


「陛下、先程の件、お受け致します。我が娘ユリアには必ず、

魔法を伝授してみせます。ですから、娘の身の安全宜しくお願い致します。」


国王に向かい、深々と頭を下げるオードノギュー公爵。


「うむ、承知した。オードノギューよ、ユリア嬢の事、この国王がなんとしても、

護ってみせる。案ずるな…、我が闇部は優秀だ。王城のいたるところに配置し、

蟻の子一匹見逃さぬようさせる。

……よく承諾してくれたな、礼を言う。」


「……、大事な娘の運命……、抗えぬのなら…父として…最善の事をしたまでです…。」


不安な顔に不安な声を隠す事なく出す公爵に、国王が


「それは…私も同じだ……。」


その陛下の言葉に嬉しく思うものの、既に事は動き出したと感じる公爵であった。



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