勧誘日のお知らせ、そして楓さんの「味覚攻撃」【日常ショートショート】
第二天、私はいつものように学校へ行ったけれど、今日の冬佳先生はどこかいつもと違うような気がした。いったいどこが違うんだろう?
冬佳先生は胸に、何かの書かれた紙の束を抱えていた。
先生は教壇に上がると、懐からその紙の束を取り出した。
「学校の部活動が新入部員の募集を始めるわ。今日の午後、全校生徒は学校の広場に集合して」
「今日はACG部、軽音部、水泳部、写真部などの部活が広場で勧誘を行うわよ!」
冬佳先生は黒板をコンコンと叩き、台下の生徒たちをじっと見つめながら、注意事項をとても真剣に説明した。
「あとで一人につき2枚の紙を配るわ。1枚は申込用紙で、これは部活の部長に提出するもの。もう1枚は学校の各部活動の紹介よ。みんなはこの紙を見て、自分の好きな部活を探してね。それと、申込用紙は絶対になくさないように。紛失しても再発行はないから」
「今から申込用紙の記入方法について説明するわ。用紙の上にある『学校』の欄には『北稜高校・高等部』と書いて、残りは各自の状況に合わせて正直に記入してね」
その時になって、私は初めて学校の正式名称に気づいた。
――
お昼の時間になり、楓さんが「一緒に学校の庭のベンチで食べましょうよ」と、とても嬉しそうに誘ってくれた。
今日の楓さんのお弁当はとても豪華で、見ているだけで食欲が湧いてくる。
楓さんはにこにこと私を見つめている。
「佐藤さん、午後には大きな戦いが待ってるわよ。ちゃんとエネルギーを蓄えておかないと」
「わ、わかった。気をつけるよ」
「ほら、私のお弁当に余ってるたこ焼きがあるの。これ、私の手作りよ~」
私はスプーンですくったたこ焼きを一口頬張り、ぱくぱくと食べた。
「もぐもぐ……うん、すごく美味しいね、楓さん」
楓さんは顔を赤らめながら聞いてきた。
「どこが美味しいのよ、佐藤さん~」
「味がとても美味しいよ。あとで午後になったら、僕がお弁当箱を洗っておくよ。べたべたのまま家に持ち帰らなくて済むし」
楓さんは呆れたように、でも少し嬉しそうに私を見つめた。
「佐藤さんの味覚を征服して、佐藤さんを変えてしまうには、まだまだ時間がかかりそうね」
【日常ショートショート】
舞台は学校の中庭にある石のテーブル。ここは静かで、誰にも邪魔されない絶好のスポットです。そんな場所で、楓さんが佐藤さんに対して「美食による猛攻」を仕掛けます。
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