表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

第7話 人間でいたい

 目を擦り、ぼやけた視界をなんとか取り戻そうとする。

 しかし、何度見ても、目の前でフードの男と対峙しているのは、あの魔機屋だった。


 広げた眼の向こう。

 日が昇り出し、まだまだ間もない刻。

 魔導機械アーティファクトの森の中。

 店の前の少し開けた場所で、鉄鋼ガントレットが、サーベルを受け止めていた。

 ゴーレムの剛腕をもぎ取ったような大きな鉄鋼を装備しているのは、店内で見た華奢で小柄なあの少女だった。


「何だお前、こいつらの仲間だったのか?」


 一歩も引かぬまま、男が訊く。

 魔機屋が首を横に振る。そう、仲間ではない。


「なら、どいてろ」


 目の前に立ちはだかっているのは、武器を装備しているとはいえ、戦うことができるかもわからない無力そうな少女だ。男ほどの実力者なら戦う気力すら湧かないだろう。


 男は興味が失せたように身を離すと、振り上げたサーベルで再び魔法使いへと振り降ろす。


 ガキン____


 しかし、再び鉄鋼が割り込んだ。


「だめ……」


 サーベルを食い止めながら、魔機屋が言う。

 〝ただならぬ事態と判断して止めにきた〟ということだろうか?


 ハァ____


 男はため息を漏らす。


「一般人に用はないんだがな……。邪魔するなら、お前から殺すぞ?」


 男が魔機屋へと殺気を向ける。


「にげ……ろ…………」


 いくら頑丈そうな鉄鋼を装備していると言っても、ただの〝少女〟である。剣士たち冒険者を圧倒した男。おそらくあの〝魔獣兵器〟すらを超える力を持つであろう者に敵う訳がない。


「く……そ……」


 助けなければ……。


 しかし、どんなに力を込めようとも身体は動かない。



 男がサーベルを構え……


「やめ……」


 切り払う。


 その刃が魔機屋を両断した。


 ……そう見えた。



 ボッ__


「……!?」


 消えた……?


 斬られたと思った魔機屋が、忽然と、いなくなった。


 ザッ__


 いや、いる。男の後ろで拳を振り上げて……。


 男も面食らったらしい。

 目を瞠りながら、それでも旋回し、店主に斬りかかる。


 ガギガガギン____


 五度、火花……。

 鉄鋼とサーベルのぶつかり合い。

 男と攻防を繰り返した魔機屋は、今度は素早く飛び退いた。


 ボッ__ギンッ_____


 かと思えば一気に距離を詰め、さらに躊躇なく殴りかかる。

 魔機屋は鉄鋼の掌から噴き出す風圧を推進力に変え、風を切るように高速移動していた。その加速は、知らなければ一瞬消えたように錯覚させるほどだった。


 二発。三発。四発。サーベルと荒々しく格闘した後で、また遠ざかる。撹乱するように地面を飛び跳ね、再び突っ込む。四方だけではない、空中やしゃがんでの攻撃もある。上下を加えた立体的な攻撃を仕掛けていた。


 本当にさっきまで会話をしていた少女なのか?

 そう疑うほど信じられない光景が目の前に広がっている。


 一般人の動きではない。

 どこから来るのかわからない、先の読めない戦法は、やりづらいことこの上ないだろう。

 

「おまえ、戦うことができたんだな……。それに、なかなか強い。速さに目がいきがちだが、力もある……」


 しかし、男はまだまだ余裕があると言わんばかりに、分析を続けた。


 ボッ____


 魔機屋の拳は男のフードに隠れた頬を霞めた。

 フードの一部が破れ、顔を覗かせる。


「うん、いいじゃないか!! 転がっている雑魚どもよりも殺しがいがある」


 ふと、男は羽織っていたフードを外した。


「これで〝視える〟な」


 フードの下から現れたのは、紫色の髪の〝少年〟だった。

 目鼻立ちのくっきりとした顔、長い手足、線の細さ、間違いなく少年のものだ。


「少年!? しかも、おまえ……〝魔族〟か!」


 わずかに尖る耳。それは魔族の特徴だ。


「それにその服……魔王軍の……」


 聞いたことがあった。

 紺色の布地に、赤いマント。

 少年が身に纏うその服は、魔王軍の兵士の特徴と一致していた。


 フッ

 少年が不敵に笑い、構えを変える。


 底知れぬその笑みに、背筋がぞわりとした。


「悪くはない……。だが甘いな。そんな動きじゃ、僕は倒せない」


 悪い予感は当たった。

 フェイント混じりの魔機屋の軌道を、少年が捉えた__。



 キンッ____


 一撃を躱され、隙のできた魔機屋へ、サーベルが煌めく。


 作業着の袖が切り裂かれた。

 だが、攻撃を当てたはずの少年の口が、どういう訳か砂利を噛む。

 目が大きく開かれる。


 理由はすぐにわかった。

 血が出ていない……。

 抉られた白い皮膚から露出するものは〝無機物〟だった。


「お前……〝人間ヒューマ〟じゃないのか?」

「……魔導機械人形ギアノイド…………」


 魔機屋が呟く。


「ははは……、いいな! 人間族ヒューマじゃないなら仲間に入れ!!」


 少年がサーベルを下ろした。ご機嫌に笑う。


「人手不足だからな。見どころのある奴には率先して声をかけてるんだ。僕には敵わないが、お前はなかなかの強さだ。戦力としてもほしい」


 聞き間違いではない。

 魔機屋を引き入れようとしている。


「噂は聞いてる。人間族ヒューマと馴染めてないんだろう?」


 変わり者。

 くだらない。

 ガラクタ。


 果てはこの場所を〝ガラクタ置き場〟として、嘲笑った。

 魔機屋と生みの親である博士が、この町でどんな扱いを受けているのか。


 話を聞いて理解していた。


「僕たちの元に来れば、そんな目には遭わない。どんな酔狂な奴でも大歓迎だ。実際、お前みたいな性格の奴もいる。だがっ!!」


 少年は言葉を強める。


人間族ヒューマはそうじゃない。あいつらは、自分たちと違う異端には、どこまでも残酷になれる醜い種族だ。……なあ?」


 話を振られ、目線を逸らす。仲間との会話が思い出される。そう。人間は違いを受け入れられない。同じ人間であっても、その線を越えた者には容赦はしない。排除しようとする。そんな光景を、嫌というほど見てきた。


「予言してやる。お前が〝人もどき〟だとわかれば、疎外だけじゃ済まされない。徒党を組んで排除にかかる。絶対だ」


 少年が踏み出す。


「僕たちと来い」


 魔機屋に向かって、手のひらを差し出す。


「わたしは、〝人間〟でいたい。……いかない」


 魔機屋は誘いをはっきりと断った。


 ピクッ

 少年はその言葉に反応した。


「断るだけなら、まだいい……。だが…………」


 そして、引き上げた手のひらで、少年が髪を掻き上げる。


「〝人間〟でいたい……だと。おまえ、ふざけているのか?」


 魔機屋に対して好意的だった少年の瞳は、沸々と煮え滾っていた。


「くそがっ!!」


 冷酷に吐き捨て、魔機屋へと斬りかかった。


 ビュッ


 鉄鋼を構えて応戦する魔機屋だが、拳は宙を虚しく突く。


 ズザッ__ザッ__ズザザッ______


 先ほどまでの遊んでいる感じではない。

 怒りをぶつけるように少年はサーベルを振るった。


 空振りは凶刃を次々と呼び込み、その身はズタズタに切り裂かれていった。







 バチ__バチバチ____


 傷口は増え続け、ついには、痛々しく放電するまでになる。痛覚がない故か、顔色こそ変わらなかったが、追い詰められているのは明らかだった。


「終わりだっ」


 凶刃が魔機屋の首へ狙いをつけた。


 迫る凶刃____。



 バシャ__


 その場に響いたのは、破壊音ではなかった。

 乾いた音を残し、水滴が散る。


 ずぶ濡れの少年に相対するのは、



 はぁはぁ____


 息を切らし、汗だくになった薄い影。




 しかし、その影は大きく確固たる意思でそこに立っていた。


※このあとがきはキャラ同士の雑談コーナーです。本編には関係ありませんので、気軽に読み飛ばしていただいて大丈夫です。


ラットと!


魔機屋……


で、この雑談コーナーをやっていきます


ん……


今回は戦われてましたね!


ん……


魔機屋さんは戦えたんですね!!


……素材集め……


なるほど!

たしかに魔導機械アーティファクトをつくるのにも必要ですよね


ん……


素材屋さんで購入されたりとかはされないんですか?


お金……


あ~、……ですよね

お高い素材もありますし……


ん……


皆さんも、素材よし、品質よしの魔導機械、ぜひ買ってくださいね!!


よろしくお願いします……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ