村と脅威と新情報
〜街より東に10キロ地点の密林〜
「まったく、マーリンさんは他人事だと思って…」
「私達ならきっと大丈夫ですよ」
「そうは言ってもなぁ」
日の暮れかけている夕暮れ、僕と桜は観測所から街へと向かっていた。
桜が言うならきっと大丈夫なんだろうけど、やっぱり不安は残る。
そのまましばらく街へと向かう僕らに緊急事態が起こった。
最初にそれを見たのは僕だった。
「なぁ、桜。あれってまさか………」
「え?」
僕が指差したその先には山が動いていた。
つまり、奴がいた。
奴はゆっくりと、しかし確実なスピードで歩いている。
確かあの先には村があったはず…
僕は胸ポケットから携帯を出すと市長へとかけた。
『はい、もしもし。一樹君?」
「市長、奴を見つけた。今奴は東の村に向かい進行中。警報を出して」
手短に用件を伝える。
これで村には緊急警報が発令されるはずだ。
しかし、ここでも予想外のことが起こってしまった。
『もしもし一樹君?なぜだか分からないけど繋がらないんだ。そこからコード塔が、見えるだろう?どんな状況か確認して貰えるかな?』
なんだよこの忙しい時に…
そう心の中で毒吐きながら目だけでそちらを見る。
だが次の瞬間僕は体ごとそちらを向いた。
「し、市長よ…」
『なんだい、一樹君?』
「塔が…崩れてる……」
塔は中程から崩れ落ちていた。
原因は分からないが恐らく先ほどの地震のせいだろう。
だが、今はそれどころではない。
塔が崩れているということは緊急事態が伝わらないということだ。
もう少し奴が近づけば気づくかもしれないがその時はもう手遅れ、村ごと消えてしまうだろう。
その事態だけは何としても避けなければならなかった。
『じゃあ今から伝書鳩に…』
「それじゃ間に合わない。僕らが行く」
『え?』
「僕と桜で行ってくる。良いよね、桜?」
桜に確認を求めると頷き返してくれた。
肯定の印だ。
それだけを確認すると、市長が何かを言う前に通話を終了した。
『一樹君!かず…』
「行こうか、桜?」
「はい」
こうして僕と桜は村へと進路を変更して、走った。
村へと着いた僕はそのままその場に崩れ落ちた。
「くそっ…」
僕達がついた時にはそこはすでに平地になっていた。
つまり、手遅れだった。
この事態には桜も横で俯いている。
これじゃあ市長に会わせる顔が…
『ゴホッ…』
物陰からなにか声らしきものが聞こえた。
僕は急いでそこへと向かう。
そこには、
「う…ぐ…」
兵士が倒れていた。
鎧が所々凹んでいるせいで脱ぐことができないらしい。
僕と桜でこの重量を持ち上げることは無理だ。
だから僕は再び市長に連絡して状況を説明、救急隊員の要求をした。
そして、救助を待ってる間僕は少しでも情報を集めようと質問をしていた。
「何があったんだ?」
「あ…あいつに近づこうとしたが…凄い熱で……近づけなかった」
熱?体温が高いのか…?
「そしてそのまま…なす術もなく……」
「分かった。もう良い、ゆっくり休んでくれ」
兵士を寝かせると僕は新たな情報に何か引っかかりを感じた。
しかし、その時はまだ分からなかったのだった…




