緊急速報
僕は研究所に呼ばれていた。
そこには僕たちの他になんだかハイテンションな医者がいた。
「じゃ、説明するよ」
医者が僕に写真を見せながら説明を開始する。
「まず、この写真を見て欲しい。これは一樹くんが調べてくれた皮膚の写真だ。この写真には本来写らないものが写っている。それは元気な細胞だ。もともと、皮膚とは死んだ細胞からできている。だから本来写るのは死んだ細胞のはずなんだ。でもここには明らかに活発に活動している細胞がいる。つまり、こいつはもともとおじいさんの体にいなかったものになる」
そこまで一気に言ってから医者は一旦言葉を切る。
僕はここまで説明されてやっと理解した。
そして、「まさか!」と思う。
医者がゆっくりと結論を言う。
「そう、こいつがおじいさんを苦しめている犯人。新種の生物だね」
原因がやっと分かり、ホッとしているとあることに気がついた。
もし、僕のこの考えが現実にあり得るなら大変なことになる。
だから僕は医者に確認をとった。
「それって他の人に感染したり移動したりしないのか…?」
それに対して医者はこう答えた。
「まだ、大丈夫なはずだよ。この生物について調べたところ分かったのは一つ。感染者が高熱を出しているときはこいつらはまだ成熟していない。つまり繁殖能力がないということだ」
それを聞いて僕が良かったと胸をなでおろしたのもつかの間、医者はさらにこう続けた。
「安心するのはまだ早いよ。感染者の熱が下がったらこいつらが成熟した証。おじいさん、そろそろ危険じゃないかな?」
医者がそこまで言うとヴーヴーと、僕の電話がなった。桜からの通話だ。
医者にすいませんと言ってから電話に出ると桜から今一番聞きたくない言葉を言われた。
「もしもし桜、どうしたの?」
『一樹!朗報ですよ!おじいちゃんの熱が下がりました!!』
僕は桜に絶対にじいさんに近づかないように言ってから医者とともに家に急いだ。
途中、走りながら市長に連絡をする。
「もしもし!市長か!?」
『そうだけど一樹君、まずは名前を言うのが礼儀じゃないかな?』
そうのんびりと返答してきた市長に僕は怒鳴るように言う。
「そんなことより!緊急事態だ!!新種の生物が街へ侵入した!」
それを聞いた市長は驚きを隠せないような声で聞き返してきた。
『えぇ!?そんな情報来てないよ!どういうこと!?』
それに対し僕は詳しいことはあとで説明する!と言い、生物の特徴だけを伝えた。
「大きさは人の皮膚細胞と同じくらい、感染者は40度以上の高熱が出るがそのときはまだ平気だ。問題は熱が下がったとき。こいつらは成熟し、繁殖能力を得る」
それを聞いた市長は先ほどまで驚きうろたえていたとは思えないほど冷静にこう言った。
『ありがとう。報告、感謝する。これから全市民に対して忠告をするよ」』
市長がそう言って電話を切ってから数秒後サイレンが鳴り、緊急放送が流れた。
『緊急速報、緊急速報。生物の出現を確認しました。全市民は直ちに家に帰り、警報が解除されるまで外出しないようにしてください。繰り返しますー』
それを聞きながら僕は家に向かって急いだ。




