置いてきましたよ?
『生きるってことはね命を殺すことなんだよ』
市長の言葉が頭の中を駆け巡る。
確かに、そういうことなんだな。
僕達がよく「何人の犠牲者が出ました」とか言ってるけど、向こうからしても犠牲者が出てるわけなんだよな…
そんなことを考えていると自然と顔は暗くなっていく。
横からコツンと桜に突かれた。
「そんなに気にしないでください。翔子さんもそんなことは望んでいませんよ」
「あー、違うんだよ。僕達は一体どうすれば良いんだろうって考えてたんだ」
僕がそう言うと桜は、
「?」
と首をかしげた。
そこで前を歩いていた総司達も後ろを振り返った。
「どーしたんだよお前ら」
総司が訪ねてくる。
「いや、あのねー」
僕はつい先ほど市長に言われた言葉を伝えた。
皆固まっている。それはそうだろう、こんなこと考えていなかったのだから。
「あの…私…なんだかわかる気がします…」
最初に声を発したのは恵理香だった。
そして優里香も、
「うん。私もわかるわ」
と、言った。
うちの女性陣は理解が早いようで…
「えーっと、つまりドユコトだ?」
総司が優里香に聞いた。
「はぁ、本当に馬鹿ね。つまり、弱肉強食ってわけよ」
あれ?そう言う意味だっけ…?
「それはちょっと違う気が…」
僕がそう教えると、「文句ある?」とでも言いたげに睨みつけられた。
しばらく歩いて行くと街の明かりが見えてきた。
「あ、そろそろだね」
僕が皆に言う。
「そうですね。なんだか久しぶりに見た気がします」
「そんなわけないでしょ。まだせいぜい三日しか経ってないわよ」
「優里香ちゃんはぁ、空気を読もうねぇ!」
そう言いながら総司が優里香に背中から抱きついた。
「きゃっ!?な、なにすんのよ変態!」
「ウグッ!」
ドサッと、乾いた音が鳴り響く。
その正体は腹に一撃を食らった総司だった。
「あーあー、総司も馬鹿なことするなぁ…」
「うっ…一樹…チャンスは逃すもんじゃないよ(キリッ」
「いや、なんのチャンスだよ!?」
僕達はこうして笑いながら街へと帰った。
不思議と翔子を失った責任感は消えていた。
え?総司?
もちろん置いてきたよ。




