別れは始まり。
もう夜になったというのに、暗いはずの森はまだ明るかった。
周りではたくさんの人が動いたり話したりしている。
そんな中、僕は木の下で1人佇んでいた。
『一樹君…』
ふと声がかかり、顔を上げるとそこには市長が立っていた。
「市長…」
「お疲れ様。そして…残念だったね」
市長が残念というのには理由がある。
僕はこの戦いでバジリスクを倒すという快挙を成し遂げた。
しかし、それと同時に大切な仲間を失った。
「一樹君。生きるってどういうことかわかる?」
市長からの突然の言葉。
僕は意味がわからないまま、頭に浮かんだ言葉を言った。
「大切な人といること?」
我ながらクサイ台詞だと思った。
「違うよ」
でも、市長の答えはもっと違っていた。
「生きるってことはね、命を殺すことなんだよ」
「え…?」
「虫でも犬でも、人でさえも皆他の生き物を殺して生きている。今回はたまたま僕たちが狩られる側だっただけだよ」
「それは…そうだけど」
どうしても僕は納得ができなかった。
「責任を感じる?」
市長はさらに尋ねてくる。
「そりゃ感じるよ!隊長だよ!たいちょムグッ!」
「一樹君、それ以上はダメだよ。確かに犠牲は出てしまった。でも、君がその元凶を倒したのも事実。それを忘れちゃダメだよ」
それだけ言うと市長は人ごみの中へ去っていった。
(事実、か)
『かずきー』『たいちょーー!』
向こうで僕を呼ぶ皆の声がする。
今はそれだけで十分じゃないか。
そう結論付けると僕は人ごみに入っていった。




