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最後の人類、最初の生命  作者: コゲコゲ
夏休みは別名宿題地獄です
35/56

ママー何あの人ー? しっ、目を合わせちゃいけません!

「何があった!おい、桜!!」


 トランシーバーに向かって叫ぶ。

 向こうで何があったんだ?嫌な予感がする。


「おい!桜!!おいってー」


『一樹…』


 叫んでいた声を桜の声が遮る。

 その声はどこか震えていて、それでいてどこか決意に満ちていた。


『絶対に奴を…』


 そして、少し間が空いてからゆっくりと桜は言った。


『倒しましょう…』


(桜が…キレている…?)

 実際桜はキレていた。

 以前にもじいさんに向かってキレていたが、それとは比べ物にならない。

 僕でさえ少し恐怖を感じた。

(聞いたらダメだ!聞いたらダメだ!!)

 分かってはいるが僕は聞かずには居られなかった。


「桜、一体何が…」


『翔子は奴の目を見てしまった。それだけです』


 返ってきたのは、桜の声とは思えないくらい冷たい言葉。

 まるで、心がどこかに行ってしまったような…


「…総司へとつないでくれ」


 僕は総司に伝えなければならないことがある。

 向こうで何かを話してから総司が出た。


『な、なんだよぉ。何なんだよあいつはぁ…』


 桜と同様にいつもの総司からは想像もできない声だった。

 総司は涙声になっていた。

 当然だろう。目の前で仲間が死んだのだから。

 それを考慮しながらゆっくりと優しく総司に伝える。


「総司。頼みがある」


『頼み…?』


「うん。桜を抑えていてくれ。今の状態は危険だ」


 総司はしばらく考えると、うん。と言った。

 通信を終えると、恵理香が恐る恐る尋ねて来た。


「か、一樹…それってまさか…」


「そうだよ恵理香。僕が1人であいつを倒してくる」


「!だっダメです!!危険です!だったら私たちも…」


 今まで聞いたことのないくらい大きな声で恵理香は言う。

 でも、僕の気持ちは揺らがない。


「そういうわけにはいかないんだよ。僕は仲間を死なせてしまった。責任は僕にあるんだ」


「そんな…」


 恵理香が諦めたような声を出す。

 それでいいんだ。僕はもうー



 パチーン



 乾いた音が響いた。

 じわりと僕の頬に痛みが広がっていく。

 そして僕は気づく。優里香に頬を打たれたのだと。

 そして、打った本人の優里香は僕に向かい、


「あんた、バッカじゃないの?僕に責任がある?笑わせんじゃないわよ!奴を倒したいのは分かるけどさ、それは私たちも同じなんだよ!そのくらい分かってよ!隊長なんでしょ!」


 そう、まくし立てた。

 僕も桜と同じように何も見えていなかったのかもしれない。

 頬の痛みが広がっていくにつれて、頭も回転してきている。


「…ごめん」


 そして僕は2人に謝った。


「今はそれどころじゃないでしょ」


「急がなければ…桜が…」


 そうだった。

 早く行動に移さないと。

 ちらりと奴の方を見ると、かなり桜たちのところへ近づいている。

 僕は2人の顔を見て決心し、口を開いた。


「2人とも、援護…任せれる?」


「あったりまえじゃない」


「頑張ります…」


 そして、2人の顔をもう一度だけ見てから僕は走り出す。

 走り出してからすぐに援護弾が放たれる。

 援護弾は奴の後頭部をかすっていった。

 僕は奴が振り向く前に木の陰に隠れる。

 しばらく銃声が鳴り響く。

 銃声が止み、静かになったところで僕は背後に気配を感じた。

 咄嗟に背後を確認しようとし、だが確認せずに前に跳ぶ。

 直後、僕の盾になっていた木が倒れていったのが見えた。

(なんて強さなんだ!?)

 一瞬見えた胴体の形からしておそらくバジリスクだろう。

 一瞬でどうやって背後に、しかも場所まで…

 いや、場所の特定方法は分かっている。

 奴は蛇だ。つまり、舌で獲物の位置を特定しているんだ。

 僕は腰につけた拳銃を背後に向けて乱射する。

 しかし、奴はもうそこにはいなかった。

 ならば、一体どこへ…

 バジリスクを探す僕の視線の隅にキラリと光るものが見えた。

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